アイベックがアルミ遮熱シート施工で活路を開拓
更新日:2025/4/26
塗料や外装・防水材などの販売を手掛けるアイベック(東京都品川区)が、工場や倉庫の熱中症・暑さ対策として提供を開始した、アルミ遮熱シート施工が建設業界内で評判となっている。アイベック千葉営業所の倉庫内で、アルミ遮熱シート施工を実施した場合と、そうでない場合に分けて1年ほど倉庫内温度の計測をすると、両者には最大10℃の温度差が出ることが判明。関口豊社長は「他の手法でも、これほどの温度差は出せていなかったので、この結果は嬉しい驚きだった」と振り返る。最近では、結露や省エネ対策などにも取り組むようになり、顧客からは「塗料だけでなく、日常の困りごとを相談すると解決して貰える」と認知され、連携を求められることも増えてきたという。

関口社長は、2015年に4代目の代表取締役に就任以降、常に「新しく何かを模索し続けなければ、いずれ行き詰まる」という認識で組織を運営してきた。その危機感が更に強まったきっかけが、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症拡大の影響。従来の訪問営業が不可能になり、「新たなアプローチ手法の確立が必要」と自社のYouTubeチャンネルを創設。コツコツとアップし続けた製品や資格に関する動画数は140を超え、「これまでにない層からの引き合いに繋がった」と状況を説明する。


新しい試みとして在宅ワーカーを雇用し、営業支援の委託も開始。社員の負担を極力増やさずに、新たな顧客へのアプローチが可能になり、「より幅広い提案のできる社員が増えるなど、良い兆候が生まれ始めた」と現状を話す。
関口社長自身50歳とまだ若く、当面の経営体制は盤石なのでは?と聞くと、「企業の永続を考えると、若手の採用と育成は今後の躍進の鍵になる。少し余裕が出来た今だからこそ、積極的に取り組まなければならない」と気を引き締める。最近では、業種の違う会社との関わりが増えたことが刺激になり、これまでと全く異なる商流を生かすケースも増えたという。「今後は、パートナーさま・お客さまと共に、この難局を一緒に乗り越えられるよう、販売ではない形でもお役立ちしていきたい。建設業は、インフラ維持により国民の生命・財産を守る必要不可欠なもの。引き続き、塗料やフィルムなどを中心とした商材を通し、美しく快適な環境づくりを実現するため、全力を尽くしていく」。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。