クラフトバンク総研

創立60周年記念式典を開催した江戸川建設業協会。行政とのタッグ強化で国土を守る

更新日:2025/4/28

江戸川建設業協会(東京都江戸川区)が10月7日、創立60周年記念式典を開いた。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2年間の延期を経ての開催となっていたが、来賓の斉藤猛江戸川区長と福本光浩江戸川区議会議長、木村恭巳江戸川労働基準監督署長がそれぞれ祝辞を述べ、盛大な式典となった。献血や区民祭り、花火大会、子供みらい館と連携した大工の仕事体験など、2年間ストップしていた協会活動がようやく再開できる運びとなった。

今期で3期目の任期となる内海憲市会長(内海建設代表取締役)は、「時代の過渡期に差し掛かり、建設業界が厳しい状況にあることは認識している。しかし、協会には若手の会員が徐々に増え、良き転換点になり得る要素も現れ始めた。さまざまな世代が集結する現状を好機と捉え、新旧織り交ぜた中庸的なバランス感覚で活動を進めていきたい」と協会運営のポイントを話す。

台風や豪雨災害の際、江戸川区民は常に荒川氾濫の危機と隣合わせとなり、行政との綿密な連携が必要不可欠になる。千葉県浦安市の住宅街が液状化で機能不全に陥った東日本大震災の際は、浦安市長からの要請で全協会員が現地に駆け付け、長期間インフラの復旧支援に尽力した。緊急時にこのような相互間での迅速な活動を可能にするため、内海会長は「行政・区民とは常に連携できる距離を維持し、本音かつ活発な意見交換を行える関係を継続しておくことが重要だ」と話す。非常事態下では、一朝一夕では構築できない、「人とのつながり」が生命を守る確率を高めることができる。

「協会としては、新しい取り組みの開始に加え、従来の活動を更に効率化するには、どのような仕組みづくりがベストかを判断していきたい」と内海会長は展望を語る。区内では、電線の地中化や上下水道のリニューアルの時期も控えており、万が一に備えた対策が急務。それらを重視しながらも、区が推進するSDGs(持続可能な開発目標)など、新たな施策に目を向けることも忘れない。「協会に所属する建設企業経営者の大多数は江戸川区出身。皆、これまで蓄積した知識・経験を愛着ある地元に還元したいと考える人ばかりだ。この団結力と風通しの良さを追い風に、今後も行政とのタッグをより強固にして、目の前にある困難に立ち向かっていく」と決意している。言葉にせずとも内海会長からは、「世の中を支えているのは建設業。自分たちはその礎となる仕事を担っている」という自信とプライドが溢れ出ている。江戸川建設業協会の今後の活動に注目だ。

新着記事

  • 2025.05.27

    ショールーム開設のハマニ。左官技術の伝承に全力を尽くす

    「とにかく職人の採用・育成の改革が急務だと感じた」。  左官・土木工事を手掛けるハマニ(静岡県浜松市)の河合滋社長は、慣習として続けてきた「見て学ぶ」「技術を盗んで覚える」という従来の職人文化に限界を感じ、体制の移行を決 […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.05.23

    「誰かの笑顔のために」、三瓶工業がDX駆使で新たなステージへ

     ㈱三瓶工業(山形県天童市)は2022年、設立50周年を記念して会社のロゴや制服、ヘルメットなどのデザインを刷新した。アイデア作りからデザイン製作までを一括で依頼した先は東北芸術工科大学。地元の芸大生との連携により、これ […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.05.14

    事前防災の定着に最善を尽くす 目黒建設業防災連合会

     目黒建設業防災連合会は2021年5月に発足し、初代会長には加藤公章氏(加藤電気工事)が就任した。同連合会は、目黒区内の建設・電気・設備・造園の4団体から構成されており、加藤会長は「地元の建設業が何をすべきかを突き詰めた […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.05.09

    若手による地域活性化に挑戦 平畑建設

     平畑建設㈱(広島県三原市)の平畑隆也取締役が、広島県建設業協会連合会・青年部会の幹事長に就任した。今年3月28日に開催した設立総会では、「我々の世代で新たな価値や経営モデルを提示し、未来を創り出せるよう全力を尽くす」と […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦