DXで社内変革を果たした礒部組が、「地域」重視の施策で躍進を図る
更新日:2026/4/7
礒部組(高知県安芸郡)が、今年7月に創立70周年を迎える。祖父が安芸郡中芸地区に根差した建設業者として創業した同社。災害復旧工事を始め、道路や河川、森林など様々な分野の土木工事で地元の安全を・安心を支えている。礒部英俊氏が代表取締役に就任したのは2022年5月。先代である父・昌平氏の他界により就いた代表の座に、「経理を担当する妹の協力も得ながら、1年ほど前から実質的な運営を任せられており、大きな混乱はなく職務に向き合えた。しかし、いざ父が不在という現実に直面すると、どれだけ心強い存在だったかと思い知った面もあった」と振り返る。父が病床につく中、定例となっていた社内の状況報告をしていた際、「もういいで、アンタがやろうとすることが正解や」と言われた。この含蓄あるセリフを「ようやく認められた」と捉え、現在も会社に合わせた経営を心掛けている。


社長に就いた直後から始めた取り組みは、DXの導入により従来の働き方を変えること。属人化していた事務作業をDX化で変革できた効果は絶大で、「これまで『言われたことだけをやるのが仕事』と考えていた一部社員の固定観念を、情報の共有とアップデートで壊せたことが大きかった。生産性の向上により生まれた時間を、他の業務に充てられるようになった」と近年の状況を語る。実際に採用面でも顕著な変化が起こっており、直近の3年間では3人を採ることに成功。当初は入る意志の無かった高校生が社内見学に来て、DXを駆使する社内の様子を見て、「ここまで土木が進んでいると思わなかった。このような技術を経験したいので入社したいです」とその場で決まったことが、「DXを取り入れた何よりの功績だった」とこの上ない喜びを表している。


「地域に貢献し地域と共に生きる」を理念に掲げる礒部組だが、それを大前提とした上で礒部社長は「まず社員には家族や仲間など、身近な関係性を充実化させることから始めてほしい」と薦めている。理由は「周囲に喜びを与えられなければ、更に広域となる『地域』に寄与することは困難と考えるから」。社員構成もベテラン・中堅・若手と絶妙な年齢層のバランスを保てており、礒部社長も「社員から『この会社に入れて良かった』と思われるよう、引き続き改善・改良を繰り返す」と並々ならぬ覚悟を見せる。人手不足が叫ばれる建設業界だが、同社は積極的な活動の継続により活気に満ちている。「地域に必要とされる企業であり続けたい」。礒部社長の放つセリフは、シンプルだが非常に奥深いもので、今後の躍進が楽しみでならない。



この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








