まさるコーポレーションが新領域への挑戦に備える
更新日:2025/5/2
まさるコーポレーション(東京都新宿区)が、10月に「養生クリーニング事業部」を立ち上げた。来年から約1年間かけて行う、新宿区にある「パークハイアット東京」の全面改修に伴う部署創設であり、工事期間中にホテルは営業停止を実施。今回のリニューアル工事は、2025年春のホテル再オープンに向けた、重要な取り組みと位置付けられている。瀧澤勝社長は、「鹿島建設の所長から直々に提案を受け、即座に立ち上げを決意した。職人が常時動ける体制を構築し、この責務を全うできるよう全力を尽くす」と意気込みを語る。


まさるコーポレーションは、ゼネコンの改修工事で培った経験とノウハウを基に、瀧澤社長が2008年に創業した専門工事会社。リニューアル工事特有の施工条件などにも柔軟に対応し、会社は今年4月に設立15周年を迎えた。瀧澤社長は、「創業がサブプライムローン・リーマンショックと同時期だったため、常に手堅い組織運営を心掛けてきた。しかし、コロナ直前に会社拡大を目指し、池袋に本社を移したことが、様々な決断を見誤った時期だった」と振り返る。大型契約した案件が着工直前でキャンセルになったこと。また、社内の連携ミスによりリニューアル部隊で新築工事に取り掛かる状況になり、大幅な大赤字を計上したことなど、悪夢のような負の連鎖が続き、2年で本社の撤退を決めた過去があるという。現在のような堅調な経営状態に戻せた秘訣を聞くと、「『責任の全ては社長の私にある』と現状を受け入れ、会社一体となって再スタートを切れたから」と即答。正確な技術とトータルプロデュース能力はある。自分の見える範囲で地に足を付けた選択を続ければ、現状打破に繋がると信じ切ったことが、新たな領域への挑戦を呼び寄せた。


瀧澤社長は、「当面は、会社の売り上げ10億円を達成できるよう、盤石な体制を形成し、様々な企業と業務提携できる組織になることを目指す」と展望を語る。漠然とだが、3年後の55歳までに企業永続に向けた目処が付けば、会社の舵取りを後進に任せたいという考えも日に日に強くなってきた。実現には、まだ克服すべき課題が多いことも自覚している。だからこそ、現状では自身がもうひと踏ん張りを見せ、次のステップになる骨格を構築する必要性を強調する。「当社が継続的な成長をすることで、今在籍する社員を幸せにし、それがリニューアル業界の健全な発展にも繋がるよう最善を尽くす。今後もお客さまの要望を正確に把握し、『安心と安全』を提供し続けられるよう、自己研鑽に努め、地道かつ堅実な道を歩んで聞きたい」。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。