明誠がロープアクセス業界の希望拡張を目指す
更新日:2025/4/25
明誠(東京都東大和市)の本間幸紘社長が、ロープアクセス工法の導入を決めたのが2017年。それまで足場での塗装施工を主体に事業を展開していたが、「会社としての可能性を広げる新たな選択肢」を模索している時期に、「共通の知り合いを通じて、ロープアクセスに精通する4U(東京都清瀬市)の上田雅人社長と知り合え、取り組み開始を真剣に検討し始めた」と当時を振り返る。

本間社長は当初、ロープアクセスの安全面においては強い不安を抱いていた。しかし、足場施工のみに偏った経営を続けると、適正価格での受注と一定の利益確保が困難な状況だったこと。また、上田社長による丁寧かつ論理的な説明と資格の取得などを経て、多くの懸念が払拭できたことを機に、正式な着手を決意。全社員から猛反対を受けたが、「社内に新しい柱を確立するチャンス」と説得し活動を始めた。

ロープアクセスの採用以降、明誠では常に顧客に対して、「足場だけの施工」、「ロープアクセスだけの施工」、「足場・ロープアクセス双方での施工」という3パターンの見積書を提示することを徹底する。オーナーの関心を引き寄せる貴重なきっかけや、施工状況を自身で確認したいため、次は足場でという動機を作ることで「バリエーションのある選択の提案が可能になった」と顕著な変化を語る。


現在は顧客の更なる充実化を目的に、パートナーと共同で火災・地震保険の代行申請や、保険の見直し、資産運用のサポートなどにも注力。長い付き合いがあるからこそ詳細まで把握できる利点を活かし、顧客に適切な提示をする手助けとして重宝されている。最近では、「ロープdemo工事RITA」と銘打ったフランチャイズも立ち上げ、5社の加盟店にロープアクセスの技術や営業ノウハウ、経理面のチェックポイントなどを伝授。既に外壁改修工事の技術を持ち合わせる企業とタッグを組むことで、自社だけでは携われなかったエリアに、明瞭かつ高品質なロープアクセス工法を普及促進している。

本間社長は、現在の目標を「お客さまが求める大規模修繕工事に対して、要望以上の成果を一貫して上げ続けること」に設定。「コスト面や現場環境、オーナー様が抱える個別の課題などを全て勘案し、常に最適なご提案ができるよう全力を尽くす」と並々ならぬ決意を見せる。高層ビルが建ち並ぶ首都圏と違い、地方ではプラント工場や橋梁など、更なる需要が生まれる可能性で溢れている。今後、明誠の下していく決断が、ロープアクセスに携わる企業の希望を拡張していくのは間違いない。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。