クラフトバンク総研

次なるステージに向けた助走を開始 ナレルグループ

更新日:2025/7/16

 ナレルグループ(東京都千代田区)の小林良社長は、現段階で最も重視する取り組みを「人材の『採用』と『定着』だ」と断言する。同社は、建設企業に技術者の派遣・技能者の紹介事業などを展開する企業。グループ会社・団体には、施工管理担当者を採用・育成後に派遣する「ワールドコーポレーション」、技能者の人材紹介を行う「全国建設人材協会」、人材プラットフォーム事業を手掛ける「コントラフト」などを有しており、グループ内で綿密な連携を取りながら、業界全体の人手不足への対応を手掛けている。

 小林社長は、「この5年で採用単価は1人当たり1.5倍ほど上がった一方、離職は増加の一途を辿っている」と現状を語る。この状況下では離職率を下げなければビジネスとしての整合性が取れなくなるのは明白。採用数を上げながらも、一定以上を定着させる必要性に迫られる現実に、小林社長は「建設業に特化した派遣会社として、この難題を克服しなければ、次のステージには行けないと考えている」と明確な覚悟を示す。現時点では、この最適解を導き出せた企業は皆無だが、ナレルグループがどのようなトライ&エラーを経て正解に辿り着くか興味深い。

 グループ内の(一社)全国建設人材協会では、経験・未経験を問わず職人志望の人材を専門工事会社に紹介後、正社員としての採用を促す活動に注力する。職人の紹介が可能になる「建設業務有料職業事業許可」を取得する数少ない団体として、昨期からは黒字転換するなど、独自の存在感を放っている。小林社長は、「職人不足に直面する現況では、オンリーワンの打開策が必須と協会運営に舵を切った」と経緯を述べる。

 ワールドコーポレーションにおいては、最近ではDXツールを駆使できる人材も育成し、人員配置の適切化を実現するなど、顕著な成果も出てきている。現段階では課題はありつつも、テクノロジーの併用により、複雑化した働き手の確保に刷新を図るなど、唯一無二の方法で建設業界の活性化に貢献している。

 「街づくりやインフラ整備など、人間が生活する上で必要不可欠の建設業に関われていることが私のプライド」と明言する小林社長。今後の展望を聞くと「建設業に特化した派遣会社として業界No.1になること」と即答する。理由は、「2008年に後発として創業した当社だが、この勢いを味方にトップを獲得すれば、これまで見られなかった世界を体験できると信じているから」とはっきりと話す。今は「夢物語」とも捉えられそうだが、例えば、業界内で一番になれたら、スーパーゼネコンと手を組んで建設業に特化した研修会社を立ち上げるといった構想など、これまで実現が難しかったような協業や新たな仕組みづくりも、現実味を帯びてくると見ている。

 アイデアは出尽くしたと言われて久しいが、「組み合わせ次第では、選択肢はまだ多く残されていると信じている」と前だけを見据える。今やグループ全体の従業員数は4000人近くに達する状況であり、その環境が「責任感を高めている」と胸の内も明かす。技術者の成長を支援し、「経済的価値」と「社会的価値」を両輪で創造する。ナレルグループの理念が更なる浸透を遂げた時、建設業界全体には新たな可能性が芽生えているはずだ。

新着記事

  • 2026.03.03

    山﨑組が「人」を原動力に未来を描く

    山﨑組(千葉県茂原市)の山﨑孝史常務取締役は、今年1月に日本青年会議所建設部会の第60代・部会長に就任した。掲げたスローガンは「志縁共創~利他を貫き、己を磨く建設部会~」。昨年6月から部会長の候補者として準備を進めており […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2026.02.27

    坂田建設が「社員最優先」に向けた組織改善を開始へ

    2025年6月に三ツ井達也氏が、坂田建設(東京都墨田区)の代表取締役に就任した。親会社である徳倉建設(名古屋市中区)の東京支店長を経て就いた重責。過去に本部長として4年ほど坂田建設に在籍した経験も活かし、施工管理部門の強 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.02.25

    弘栄ドリームワークスが「配管工育成起業プログラム」を始動

    設備工事業を手掛けるKOEI(山形市)のグループ会社・弘栄ドリームワークスは、配管工の育成から将来的な起業までを一貫して支援する「配管工育成起業プログラム」の始動を発表した。受講者は3年間、正社員として給与を得ながら学び […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2026.02.20

    盤石な布陣を武器に大同工業が可能性を拡張へ

    大同工業(静岡県伊東市)の堀口岳士社長は、新卒で本田技術研究所に入社し、自動車の設計者としてキャリアを歩んでいた。ホンダでの現状に不満は一切なかった。しかし、31歳で義父が経営する大同工業の承継を決意。夜間専門学校で建築 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一