さんのう法務事務所が臨機応変な情報提供で業界をサポート
更新日:2025/5/2
さんのう法務事務所(東京都大田区)の南秀明行政書士は、大学卒業後に新卒で熊谷組に入社。在職中に建設業経理事務士の資格を取得し、約5年で埼玉や茨城、新潟など合計7つの部署で、建設現場の職人と多くの時間を過ごし経験を積んだ。事務所開設からしばらくは、宅建や外国人在留関係など幅広い業務を手掛けていたが、2015年に顧客と継続的な関係を構築できる建設業を主軸にすることを決意。現在は、東京都行政書士会の大田区支部長を務めている。

昨今、建設業許可・経営事項審査申請に関する手続きの電子化(オンライン化)が進む現状に対し、南氏は「中堅規模以上の企業ならスムーズな電子化に応対ができるはずだ。しかし、各企業にヒアリングをすると、事務職員の少ない中小零細企業では対応しきれない可能性が高く、メリットとデメリット双方の明示が必要と痛感している。受け付け開始までの時間は限られているので、このギャップを専門家として自覚と責任を持って埋めていきたい」と率直に話す。このような大局を見極めつつも、細部にまで配慮できる中庸的なバランス感覚と、常に相手の置かれた状況を考慮した上でアドバイスする姿勢が、顧客からの厚い信頼に繋がっている。
日常的に複数の行政書士間で情報交換を行い、積極的に顧客に共有するのは「原材料の高騰や資材不足など外的要因で悩む企業を全力でサポートしたい」という思いが強いからだ。南氏の活動の根幹には、「自分が新卒から身を置いてきた建設業界が、より魅力的な環境になってほしい」という一貫した信念が通っている。

最近は「どの企業にヒアリングしても『誰か良い若手はいないのか?』『どうして建設業界には若い人が、なかなか入らない?』などの嘆きに近いような意見を受けるようになった」と南氏は現況を語る。もちろん一筋縄では解決できない構造的な要因は多い。しかし、「誰かが動き出さなければ手遅れになる」と、「今後は建設業界に若手の参入を促進するシステムに関与していくことを目指す」と自身の目標を語った。実現には、雇用・労働条件や後継者問題の改善など、根が深く重い難題が立ち塞がるが、「これまで同様に、1社1社と地道かつ堅実に向き合うことで、業界の問題点を少しずつでも良き方向に導いていきたい」と展望を語った。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。