クラフトバンク総研

白戸工務店が「仕組み化」による組織編制に挑戦

更新日:2026/3/17

型枠工事業を手掛ける白戸工務店(埼玉県ふじみ野市)は、公正な評価制度の本格導入を開始した。若手技能者の習熟度合いを可視化するガイドラインを作成し、人材定着と育成の加速を図っている。制度設計を主導した副社長の白戸翔氏は、「自社の規模では不要と考えていたが、評価が曖昧だと成長の軸が安定しないことに気付いた」と決断の経緯を語る。今回の改革が、社内外でどのような変化を生み出せるか関心が尽きない。

今回の導入の契機となったのは、同社に勤務する外国人技能実習生から、「そもそも評価自体が公平ではないのでは?」との疑問が出たこと。能力差が反映されにくい給与体系に対して課題を指摘する声が上がったという。「感覚的な評価ではなく、明確なエビデンスに基づいた客観的な基準の必要性を痛感した」と振り返る。新たに策定したガイドラインでは、安全や品質、現場での段取り、報告・連絡・相談といった実務に即した観点に基づき、4段階で設定。これにより実習生が「何ができれば評価され、どうして給与が上がるのか」を明確に理解できる仕組みを整えた。従来は実習生に向けて整理した制度だったが、順調に運用が進む状況を見て、社内全体にも適用する方針を固めている。「技術職としてフェアな評価ができる土台の形成が、結果的に現場の品質向上と安全に直結するはず」と今なお盤石な体制に向けた改善・改良を手掛けている。

白戸工務店は、管理面においても徹底した「仕組み化」を推進している。実行予算や現場収支、工程表など基本情報のDX化により一元管理を実現。トラブルの兆しを早期に察知し、先手を打てる体制を構築したことで、無駄な待機時間を減らし収益の安定化に繋げた。現場との連携も、従来の電話やファックスを廃止してチャットツールへの一本化を実施。これにより職長が自身のタイミングで発注できるようになり、「聞き間違いによるミスが減った」とのポジティブな変化を体感している。「気合いではなく仕組み化で組織を軌道修正する」との信念に基づく変革は、現場の負担軽減だけでなく、創出した利益を教育や安全に再投資する好循環を生み出している。

白戸副社長は、社外でも埼玉県商工会青年部連合会の会長を務める他、地元消防団や青年会議所などの要職を歴任するなど、地域と建設業界の活性化に奔走する。目指す活動の指針は、太陽のように業界の行く先を明るく照らし、型枠さながらに全体を力強く支える「礎」であり続けること。「この仕事が若い世代にとって、技術職として誇れる選択肢にならなければ業界の未来はない」。今まで積み上げてきた全ての活動は、職人が誇りを持てる環境を作るための布石である。白戸副社長の揺るぎない歩みは、今後も型枠業界の未来を力強く下支えしていく。

関連記事:『埼玉県型枠工事業協会』

新着記事

  • 2026.03.17

    石井組が未来を切り拓く改革に注力

    石井組(富士市)の7代目社長である石井肇氏は、「社員一同で静岡東部No.1企業を目指している」と前だけを見つめている。これまで富士市環境クリーンセンターや、JR新富士駅北口の広場改良などに携わることで、地域の人々に豊かな […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.03.13

    不易流行をテーマに、落合組が成長と進化を見極める

    落合組(静岡県菊川市)は、数年前に事業構成の転換に舵を切った。大きく変えた分野は民間建築工事の部門。堅調に利益を維持しながらも、着実な会社の規模拡大を続けられている。落合大泰取締役は、「財政動向や人口減少など、外的要因に […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.03.10

    「品質とスピード」重視のTSMが、体制変容に乗り出す

    太陽光事業を手掛けるTSM(名古屋市天白区)は、会社が創立10年周年を迎えた節目に売り上げ20億円を突破した。当初、創業者である石原靖之社長は、太陽光発電の部材販売を行う上で「どこで買っても同じ『モノ』の販売だけでは、本 […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一
  • 2026.03.06

    トランクルームの普及で、ストレージ王が「三方良し」経営を具現化

    ストレージ王(千葉県市川市)は、2022年4月に東証グロース市場で上場を果たした。セキュリティ・空調を備えた屋内タイプと、コンテナ仕様である屋外タイプのトランクルームを提供する同社。創業時の親会社であるデベロップ(千葉県 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦