TS東京が新たな打開策で第2創業期の躍進を誓う
更新日:2025/4/29
TS東京(東京都新宿区)が、第2創業期のミッションに「バリューアップパートナー」を掲げてから約2年が経過した。バリューアップパートナーとは、あらゆるステークホルダーに対して「期待を超える、顧客との一体感、最高のチームワーク」というコアバリューを盛り込んだもの。TS東京は現在、企業永続に向けた事業展開に舵を切っている。
若生伊知郎社長は、「このミッションの主語を、『私たちは』と置くことが肝。第2創業期は、1→10の成長を目指すステータス。実現には『個人の成長=会社の成長』と捉えることが重要になる。全社員が『私の会社』という当事者意識を持ち、創業時のDNAを継承しつつ、より価値の高い組織に変容していきたい」と思いを語る。若生社長は、アルバイト入社から直営工事の営業で頭角を現し、2018年に社長に就任した叩き上げ。ビル内外装特殊メンテナンス事業を立ち上げた、0→1時代の経緯を全て見てきたことを考えると、現在地がTS東京におけるエポックメイキングと言えるだろう。

年間50~60万㎡ほどを施工するシーリングマジックだが、若生社長は「都内で100万㎡以上を目標に掲げ、事業を推進していく」と先を見据える。差別化の切り札は「グリッドマスカー」。天井格子のTバー専用の養生機は好評で、現場作業者だけでなく、施工管理者からも「立ち馬に上らず天井を養生できるので、安全性と施工性が飛躍的に高まった」との声が上がっている。「お客さまの声は大変嬉しい、これを励みに更なる改善を目指したい」と向上心が遥か高い位置にあることが見て取れる。施工事業が注力すべき対象は、東京のオフィスビル。これまで内装・外装工事では2次・3次下請けを担ってきたが、今後は内装工事の一括請負にも挑戦し、新たな局面を切り拓いていきたい」と意気込みを話す。

全国郵便局改修では、設計仕様に「シーリングマジック」と記載されたことを契機に、昨年からオンラインショップを開設。一般業者でもシーリングマジックを扱える体制を整えた。地方の官公庁や設計事務所の製品認知を高め、設計仕様の採用を仕掛けていくという。オンラインショップでは、製品ラインナップの充実化を図る。「新しい発想・価値観を提案することに加え、気が利くと喜ばれる製品を開発し、ご利用いただく皆さまのバリューアップパートナーになりたい」と構想を語る

若生社長は、「組織強化のため、今後はDXを通じた顧客のデータベース化や、中途社員の採用、SNS戦略、アプリ開発なども段階を踏んで積極的に手掛けていく。当社の事業活動が、全てのお客さまの価値向上に結び付くよう、尽力していきたい」と抱負を述べる。若生社長は「私自身、若手時代に様々な経験を積めたからこそ、成長できたと考えている。今度は経営者として、成長環境と機会を作るターン。前途は険しい道になるが、将来を担う社員の可能性を摘むことがないよう、大胆かつ慎重な組織運営を行っていく」と語り、既に次なる一手を打っている胸の内を明かした。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。