クラフトバンク総研

松吉建設が「火付け役」としての役割を全う

更新日:2026/4/17

今年4月に松吉建設(福岡県糸島市)が、創業65年を迎えた。土木工事業を祖業にしていた同社は、時代の変化に応じて事業領域を広げ、現在はマンション施工を主軸とする総合建設業に進化を遂げている。次の世代を担うのが専務取締役の松吉孝達氏。「地域の火付け役となり、地域の皆さまに恩返しがしたい」と発する熱い言葉には、並々ならぬ覚悟が溢れ出ている。

松吉建設は、「マンション」「戸建て住宅」「土木」の3本柱で事業を展開している。その中核を成すのが、賃貸・分譲マンション建設だ。グループ内に設計事務所と不動産会社を擁することで、土地の取得から設計、施工、販売までをワンストップで対応できる体制を構築する。「約40社からなる協力会との強固な関係性が、人手不足に陥る現状においても、品質と工期を守り続ける要になっている」と強みを示す。近年では、年間約10棟の建設を定期的に実施するなど、安定受注により着実に実績を伸ばしており、蓄積した技術力が顧客からの厚い信頼に繋がっている。

会社のターニングポイントとなったのは8年前。松吉専務が指揮を執る形で戸建て事業に参入した際、「会社の認知度を飛躍的に上げなければ何も始まらない」と痛感し、地域との本格的な接点づくりへと乗り出した。その時に始動させた取り組みが「こども大工」。保育園などで建築端材を活用し、椅子や写真立てを製作する体験を提供した。モデルハウスを地元出身である料理研究家の料理教室として開放するなど、従来の発想に囚われない展開も、地域との距離感を縮める重要な一手となったという。

このような活動は現在も継続しており、最近では地元の小学生を対象に「未来の糸島」をテーマとした絵画コンクールを構想。優れた作品を建設現場に掲示し、子どもたちの夢を周知する計画であり、教育委員会との連携も視野に入れる。対外的な知名度の向上は、集客以外にも社員や家族が会社に愛着を持つ効果も生んでおり、「社内外に予想外の好循環をもたらせたことが、何よりも嬉しい出来事となった」と一連の経緯を振り返る。

39歳の松吉専務は、自身を「次を担う世代」と定義している。建設業の魅力は「地図に残る仕事であり、災害時には地域を守るために最前線に立つ存在であること」。その誇りを社内で共有しながら、商業施設や医療施設などにも事業の幅を広げていく方針を掲げている。今後、事業成長と地域貢献を両立させながら、糸島の未来を動かす「火付け役」はどのような躍動を見せるのか。その果敢な挑戦に着目すべきである。

Instagram:https://www.instagram.com/matsuyoshi_kensetsu/

新着記事

  • 2026.09.15

    次のステージに向けた動きを加速 飛田鉄筋工業

    「会社経営に携われるチャンスが目の前にある。これを逃すと後悔が残ると感じた」。  飛田鉄筋工業(東京都板橋区)の飛田拓也専務が、新卒で外資系企業に7年ほど勤め、30歳を迎える前に肌で感じた本音である。家族からは生まれてか […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.09.11

    社長就任を機に、東建が可能性の拡張を追求

     東山祐士氏が昨年、東建(東京都八王子市)の代表取締役に就任した。幼少期からバーベキューなど会社のイベントに参加しており、「いずれ引き継げる存在になりたいな」との思いを抱き続けてきた家業。新卒ではIT系の会社に就職し、ま […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.09.08

    創業100周年を見据え、中日建設が果敢な挑戦を継続

     中日建設(名古屋市中区)は昨年度、元請けとして受けた名古屋高速道路公社の大型工事を完遂するなどして、過去最高益を記録した。代表取締役として会社を牽引するのは髙木賢一朗氏。3代目の社長として組織の舵取りを担ってから、間も […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.09.04

    次なる成長を視野に、近藤建設が組織体制を強化

     今年10月に近藤建設(埼玉県ふじみ野市)が創業65周年を迎える。不動産やリフォーム、システム会社などをグループに持ち、設計・施工から維持管理までワンストップで担える体制を強みに、確固たる地位を確立している。現在、トップ […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一