クラフトバンク総研

「社長を信じ業務に徹する」。本陣が次なる勝負への準備を開始

更新日:2025/5/2

本陣(名古屋市東区)の梅岡美喜男社長は1976年、鋼材販売や造園会社での営業などを経験後、工場緑化の潜在的な需要に気付き、造園会社である同社を創業した。48年前の会社員時代に1人で年間8億円を売り上げた実績を活かし、事業は順調な滑り出しを見せていたが、すぐに「造園だけでは規模が小さく、従業員が満足する給料を払えなくなる可能性が高い」と察知。売り上げを大きくするには、エリアを広げるか事業数を増やすかどちらか。梅岡社長は、事業数を増やすことを選択肢し、徐々に公共土木工事や地盤調査・補強工事、石材加工・生コンクリート販売など、取り扱う事業数をバランス良く増加していった。

創業当初から持ち前の営業力を基に、ゼロから仕事が作れた為、「下請けでなく、あくまで元請けとして事業展開する」と決意。バブル期には、ゴルフ場の緑化や保証会社とセットの地盤改良工事などに手を出し、売り上げを倍増させていく選択もできた。しかし、梅岡社長は「自分の目が届く範囲でしか事業は拡げない。適正規模を欠いたら、リスクが膨れ上がり潰れる」と判断し、地に足の付いた工事を今日まで継続してきたという。

近年では、大手企業が希望する大型案件の受注を地元業者として、徹底的にサポートするなど、時代の流れに呼応した新しい手法も実践している。筆者が「他社ではなく、自社の利益だけに執着すべきでは?」と聞くと、梅岡社長は「御恩を提供すれば、それは何かしらの形で巡ってくるもの。自社だけに視野を狭めるのでなく、私は建設業界全体が継続できるような活動を心掛けている」と達観したスタンスを見せた。実際に年間の売り上げが60億円に達した際も、社内には「この実績はすぐに落ちるので、社員数は増やさない。現メンバーには無理を強いることになるが、この期間は耐え抜いて次に備えることを意識してほしい」と周知した。限られた人数の中、社員は社長を信じて必死に持ちこたえ、「見立て通り売り上げの減少が始まった際も、1人もうろたえることなく、業務に徹する姿勢を見せてくれた」と感慨深そうに回想する。梅岡社長が下した決断を社員は理解し、120%の気持ちで応えようと奮闘できる。表層的な言葉ではない、長年蓄積された真の「厚い信頼関係」で結束できているのが本陣の最大の強みである。

「今後は、鋼材の流通と生コンクリートの販売量を増やす方針だ。鋼材に関しては、国内材以外は商社を通さず、中国や韓国から直接仕入れることで、加工販売に繋げれば可能性が拡がると考えている。様々な外的要因により、制限された中での事業推進になるが、当社が勝負に出るタイミングは近々に必ず来ると確信している。その時が来るまで、取り扱う工種を増やすなど、新たな突破口を開くための準備を進めていきたい」と先を見定める。梅岡社長は、愛知県造園建設業協会で会長、名古屋市造園建設業協会で理事長を務めており、「両協会内では、『何も波風を立てないことが正解』という風潮が強かったが、この慣習を徐々にでも変えていくため、死力を尽くしていく」という強い思いもある。名古屋から造園業界に新たな風穴が開くのか。我々は、本陣の成長と名古屋の造園業の変遷を定点的に追う必要がありそうだ。

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