愛知レジンが顧客・職人との最適解を模索へ
更新日:2025/6/25
愛知レジン(名古屋市中川区)は、「10年以上剥がれない塗装」を品質方針に掲げ、営業と現場管理、施工までを担う「超一貫体制」で業績を伸ばし続けている。技術集団ならではの特徴を活かす中で意識することは、「愛知レジンにしかできない、唯一無二の仕事に取り掛かること」。「職人の地位向上を追求すること」を命題と捉え、日々技術の研鑽と顧客満足度の向上を目指している。

今野太郎社長は、求職中に「金コテ」で見事に出来上がる床面に感動し、建設業界に入職した。複数の企業で修行を積む中、「いつかは社長になる」と胸に誓う。協力会社として現場を任されても、工期や予算の都合で妥協せざるをえない現実を変えるために一念発起し、2003年に個人事業主として創業した。「2008年当時は、リーマンショックの真っ只中。技術や価値があっても簡単に職人を解雇する業界の慣習に愕然とし、変革が必要と覚悟を決めた」ことがきっかけとなり、2009年に会社設立に至ったという。「経験豊富な職人と、業界でNo.1を誇る下地処理機械を駆使することで、あらゆるニーズに応えてみせる」。この決意を裏付けるように、創業22年を迎えた会社では塗床工事を基に防水や塗装、ライニング工事まで幅広く取り扱う。工業製品や薬品・食品工場、テーマパーク、原子力発電所など多種多様な現場を、全国で施工し実績を伸ばし続けている。自社で開発した「レッドコート」は、耐衝撃・耐摩耗・耐薬品・防水性に優れ、高反発で、割れにくく、「短期施工と長期耐久性も実現しており、稼働時間など制約の多い顧客からも好評だ」と確かな手応えを口にする。

現在、会社は社員24人を抱え、茨城県に営業所を設置するまでに成長した。しかし、今野社長は長期的な躍進と地位向上に向け、「100のオンリー1と10のナンバー1」という特有のスタンスを表現。「100社から選ばれる企業」になるべく評価基準を詳細に決め、65社とのネットワークを構築中だ。自社の職人に対しては、工法特許3個などの「強み」と、年間休日110日、賞与4カ月分といった「働く環境」の2本柱で誇りを持てる環境を順次整備しており、「これらの施策を通じ、やりがいと誇りを醸成していく」と飽くなき改善・改良にも意欲を見せる。

今後の目標を、今野社長は「組織力強化」と「更なる品質担保と付加価値の創出」に設定。トップダウンを主体としていた経営面の責任・決定権を、徐々にでも各部署に移管していく意志も示す。「経営理念などは浸透しているが、組織が大きくなるにつれ、見えにくいマイナスも表面化してくるはずだ」と冷静に次に待ち受ける課題も予想する。克服には、「塗料メーカーとのタイアップを増やし、今までにない新たな商材も開発する必要がある」と次なる一手を打ち明かす。顧客と職人との最適解を模索した先には、どのような景色が待ち受けているのか。先駆者としての成果が出る日々は遠い未来ではないはずだ。


この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。