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協栄電気工業が「クール・ブルー」で業界改善

更新日:2025/7/10

 今年4月に協栄電気工業(広島市東区)の石本英成社長が発起人となり、「クール・ブルー(Cool Blue)」を設立した。同団体は、建設現場を始めとした現場仕事をともなうブルーカラー業界で働く価値・尊さなどの周知を目的にした組織。データを用いた適切な情報発信や講演などを実施することで、ブルーカラー業界に必要な人材確保などに繋げていく方針である。

 石本社長は、「俗に言う『ブルーカラー』と言われる仕事は、社会に必要不可欠にも関わらず、マイナスに捉えられるケースが多く、この現状を変えるために立ち上げた。技術・技能は一朝一夕には習得できない。長期的な視野を基に入職希望者を増やせるよう、地道な活動を続けたい」と思いを述べる。団体としては、SNS活用や各種メディアとの連携を図り、改善を果たした現場の詳細などをリアルタイムで配信していく予定だ。

 石本社長が、父の創業した協栄電気工業に参画したのは2002年。メーカーにて数年勤務した後、家業に就くことを決断した。幼少期から何となく「父が創業した会社を継げれば良いな」と考えており、入社後は現場管理や営業などの業務を経験。2014年には、会社として初めてとなる公共工事の受注を担当し、新たな取り組みの第一歩を踏み出した。2019年の社長就任以降は、事業のあり方を見直し、それまで100%を占めていた下請けの仕事を現在の30%程度に減少させることに成功。約7割を元請けとして受注するまでに成長を遂げ、売り上げも10年前と比べて1.5倍にまで拡大しているという。

 現在、会社として最も力を入れている点を、「社員の採用・育成・定着」と明言。業務エリアが東京・大阪・福岡など広域なこともあり、出張が必須の仕事という前提はある。以前は、地元からの移動を嫌う若者からの敬遠を恐れ、この事実をぼかした社員募集も行っていた。しかし、直近では「出張は必須だが手当も出る。会社の費用で各地に行けるし、人生経験も豊富になるよ!」と正直に前向きな応募を謳うと、「会社の理念を理解した上で人が集まるようになり、ようやく若手が育つ環境を整備できた」と微笑みを浮かべる姿が印象的である。

 創業者である父の意志を継承する形で会社の舵取りを担う石本社長は、40代とまだ若い状態にも関わらず、「最近では、このバトンを次の世代に手渡すことも考え始めている」と心境を語る。社長に就いてから多くの施策を打ち出し、様々な知見を蓄積した自負はある。「まだ暗闇の中で更なる飛躍を遂げるための準備期間」と捉える一方、「その躍進を実現するのは私でなく、次世代を担う社員に任せたい」との思い芽生え始めているようだ。特に近年では「世代交代のタイミングを見誤ったことが、組織崩壊に直結したケースは多いと感じている」と本音を語る。「電気工事を通じて社会に貢献する」。この基本スタンスを会社として永続させていくため、今後も石本社長はあらゆるトライ&エラーを繰り返していくはずだ。

※写真提供:©協栄電気工業

クールブルーのSNS・お問い合わせ先:https://x.com/cool_blue_2025

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