キョウエイが売上500億円に向けた施策をスタート
更新日:2025/11/21
キョウエイ(愛知県小牧市)の売り上げが、グループで100億円を突破した。大分県から身一つで名古屋に移り住み、1993年に創業してから30年余り。社名から連想するように「共に支えあい、共に成長し、共に栄える」を掲げ、企業規模の拡張を続けてきた。河野誠二社長は「引き続き、人をとにかく大切にして、人が集まる会社にしていく」と力を込め、更なる成長を誓っている。



目指す経営ビジョンは、「建設業の魅力と全ての仲間の幸せを最大化すること」。AI時代と人口減少が到来する中、「手に職を持つ人材の代替は不可能であり、付加価値はこの上なく高い。建設は決してなくならない産業だからこそ、今が採用・事業拡大の大きなチャンス」と捉えている。海外では、建設業への関心が高まり就業者が増加している国も多く、「利益を確保し差別化を図ることで、他業界に負けない給料を還元できれば、日本でも建設業への関心は必ず高まる」と見立てを述べ、入社希望者が増える仕組みと基盤の更なる強化を急いでいる。



「創業当初から社員同士は、友達のような良好な関係が続いている」と語るように、河野社長が社員の声を「友人」として受け入れ、導入した制度が「ライフプランシート」となった。社員一人ひとりが描く人生を実現できるよう年2回の面談を実施し、会社がサポートを試みるシステムである。「顧客満足度を高めるには、まず社員自身の人生を充実する必要がある。心に余裕を持ちながら望む人生を歩むことが、結果として企業の成長を支える」との考えを根底に、本人の希望次第では独立の後押しも惜しまないという。特に年間休日126日に有給20日、特別休暇20日を加えた、最大166日の休暇取得が可能な「スーパーリフレッシュ休暇」は好評を博す。近年では、Z世代で組織するイノベーションプロジェクトを立ち上げるなど、ボトムアップで新たな制度も提案している。その流れで生まれたのが「失恋休暇」。いずれも、社員のパフォーマンス低下を防ぐ役割を果たしており、「日本一の福利厚生」を目指す過程で、「人が人を呼ぶ採用」という好循環を生み、現在は約70人の社員と一層の飛躍を手掛けている。

14年連続の増収増益と勢いに乗るキョウエイ。3月には2社をM&Aでグループ化、10月には経営企画室を新設し、既に次なる成長ステージに向けて動き出している。河野社長は「『キョウエイ』に共感する仲間と共に歩み続けるため、2040年までに売上500億円、社員1000人の達成を目指す」と明言する。祖業であるデッキと鋼製型枠工事等の専門工事業者として、あらゆる専門工事でのワンストップ施工サービスを理想に掲げている。「役職を辞しても生涯現役を貫き、社員と業界の未来に尽くす覚悟」は、次世代の建設業が進むべき道を静かに示している。


Instagram:https://www.instagram.com/kyouei.biz/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








