弘栄ドリームワークスが「配管工育成起業プログラム」を始動
更新日:2026/2/24
設備工事業を手掛けるKOEI(山形市)のグループ会社・弘栄ドリームワークスは、配管工の育成から将来的な起業までを一貫して支援する「配管工育成起業プログラム」の始動を発表した。受講者は3年間、正社員として給与を得ながら学び、独自のカリキュラムを通じて配管技能士資格の早期取得を目指す。その後は、独立に向けて船橋吾一会長自らが経営ノウハウを伝授する方針だ。船橋会長は「入職者を増やして職人を育て、努力次第で起業もできる。この連鎖によって、業界の人手不足を解決していきたい」と力強く決意を語る。

船橋会長がKOEIの代表取締役に就任したのは2012年のこと。現会長の父が急病で倒れたことにより、急遽舵取りを担うこととなった経緯がある。「当時は若造と侮られて役員会で一喝され、自信を砕かれたところからのスタートだった」と苦々しく当時を振り返る。それでも、代表に就くからには父や創業者の祖父にもない、自分なりの経営を貫かなければならないと決意。従来のゼネコン依存型である専門工事業のビジネスモデルに疑問を抱き、自社独自の商材によって新たなマーケットを創出することを目指した。


船橋会長は、建設現場でのドローン活用から着想を得た配管点検ロボットの開発に着手し、約7年間の歳月を経て市場へ投入した。「当初は売上が月数十万円で、周囲からは失敗すると目されていた。しかし、見えない配管をデータ化するニーズは必ずあると確信していた」と粘り強く事業を育成し、ロボット事業を弘栄ドリームワークスとして分社化。同社の配管点検ロボット「配管くん」は現在、鉄道の駅舎や発電所など、国内600カ所以上の現場で採用されるまでに成長を遂げている。船橋会長はロボット事業の他にも数々の新規事業を仕掛け、M&Aを推進。KOEIをはじめとするkoeluグループは13社にまで拡大した。就任当時、約40億円だったグループ売上高は、直近では180億円を突破し、強固な経営基盤を築き上げることに成功した。

現在、同社は業界が抱える「職人不足」と「高齢化」という難題に挑んでいる。昨年12月に設備施工管理者の育成に特化した「KDWアカデミー」を開校し、4月からは配管工をゼロから育成し、将来的な起業まで支援する「配管工育成起業プログラム」を開始する。船橋会長は将来的には配管やダクト、建築、土木といった「ブルーカラー」の専門技術を学べる民間の学校の設立を構想する。「我々が黒子となり、専門工事会社を成長に導くプラットフォームになりたい」と語る視線には熱を帯びている。職人の地位向上を進めることは、結果的に建設業界全体の底上げに直結する。船橋会長は、自らが描く「ブルーカラーが輝く社会」の実現に向け、この先も大いなる道筋を描き続ける。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








