松伸が未来に向けた改革を実施
更新日:2026/6/2
松伸(埼玉県八潮市)が、今年4月1日から女性事務職員に対して完全週休2日制を導入した。これに伴い、事務・番頭を含む男性職員1日の労働時間も最大1.5時間ほど短縮。昨年から取り組んできたeラーニングなどの効果もあり、順調に働き方改革を進めている。長田哲也社長は、「事前にITスキルの向上と業務の再設計を進められたことで、生産性と働きやすさの追求に踏み切れた。現場を止めずバックオフィスから変革することで、誰もが無理なく長期的に働ける環境を整えたい」と意欲を見せる。

長田社長は2024年に4代目の代表取締役社長に就任した。3代目である松本茂氏が逝去したことにより回ってきた重責。それまで血縁での承継だったが、実質的な業務を統括してきた実績もあり引き継ぎを受け入れた。現在、首都圏における鉄筋の工事量は、全体的に落ち着いた状況にあるが、おそらく今後はこのような状態が平準になると見越し、今回の改革を決断した。「過渡期にある中でも企業永続の道筋を付けるため、次世代の採用・教育にも注力していきたい」と意向を示す。昨年からは、会社としてTikTokやInstagramなどSNSの運用を正式に開始。多い時は1日に10件ほどの問い合わせが来るほどの反響を生み出せており、これまでにない施策を打つことで、新たな突破口を模索し続けている。

現体制下で会社を牽引する長田社長だが、自身の役割を「次のバトンを副社長の村田雄介に繋ぐためにある」との認識を見せる。創業者の理念により継続してきた、20以上の元請け企業との関係性。これらを活かすため、まずは安心・安全な鉄筋工事を保証する「松伸ブランド」の更なる強化を心掛けている。会社としてのこだわりの1つに、「明るく楽しく元気な会社 健康安全第一」を掲げる。その理由を「過去に現場で職人から『鉄筋の仕事は底辺だから』と言及されたから」と吐露する。この一言で「まずは自社内の改善を進めることで、建設業の常識を変える足跡を作る」と奮起。月給制や福利厚生、退職金制度などの整備を徹底したことで、現在は離職率4%の人材組織を構築することに成功した。

「あくまで持論という前提で聞いてほしいが~」と前置きした上で、長田社長は「村田が社長を退いた後は、現会長・松本美幸の娘である七海が代表に指名されることを望む」との考えを示す。まだ20代の松本七海氏は既に入社を果たしており、「多少の時間を要しても構わない。建設業界の慣習やノウハウなどを蓄積し、創業家として時代に合った最適な経営方針を見出してほしい」と展望を述べる。七海氏は前職で教育関連に就いており、この経験を組織運営にどのように汎用するかも、少し先の話になりそうだが興味深い。「人を育て、技術をつなぐ」を企業文化と銘打つ松伸。新たな希望は芽吹いており、この途中経過にこそ貴重な価値が内包されているはずだ。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








