組織編制を進める大畑建設が、新5Kを意識した経営を目論む
更新日:2026/7/16
大畑建設(島根県益田市)は、女性事務員という区分を廃止し、全ての女性事務員を総合職扱いに社内体制を変えた。この取り組みを決断した人物が、2年前に代表取締役専務に就任した大畑雅敬氏。「これまでハード面は設置されていたが、ソフト面の整備が追い付いていなかったこと。また、部署間に暗黙の序列が存在していた」と刷新の要因を話す。2018年には、総務部の名称を経営管理部に変更したが、それ以外は以前と何ら変わらない時期が長く続いていた。現在は、女性事務員向けの制服制度の撤廃や、社内の部門間や男女間の垣根をなくす取り組みを進め、真の意味で風通しの良い組織づくりを目指している。


2026年5月からは、土木と建築で分かれていた営業部門を、公共工事と民間工事で峻別するよう組織編成に改めた。「双方の営業には、それぞれの特徴と独自性がある。同じ分野で働く社員同士の意思疎通と連携を強化することで、可能性を拡張してほしい」と期待を込める。これまでは、国家資格を取得した社員にしか手当を出さず、技術職と総合職・技能職の扱いに格差を感じさせるケースも多かった。しかし、総合職と技能職にも資格手当を追加、技術職にも2級を含む様々な資格にもサポートを広げるようにすると、資格取得に挑戦する社員が増え、1級の試験を突破する社員も増え始めたようだ。「『社内の技術者を増やしたい』と始めたプロジェクトだったが、意欲的に業務に励む社員の多さを見て、従来の慣習を打破して良かったと実感している。弊社は70年以上も歴史がある会社。もちろん良き伝統は残し、時代に合わない慣習は改める意識を強く持ち、経営の幅を広げ続けたい」と並々ならぬ意欲を見せる。


大畑専務は、「3K(=危険・汚い・きつい)と言われ続けた建設業界を、新5K(=給与・休暇・希望・かっこよさ・絆)に変えたい」との想いを強く打ち出す。その足掛かりとして、「まずは自社で理想を実現し、その取り組みを業界全体に波及させたい」と考え、今もトライ&エラーを繰り返す。まず心掛けたのは、「社内に誠実な社員を増やすこと」。「社員は家族」と思うようになると、全員の言動を「自分ごと」と捉えられるようになり、「社員が楽しく幸せに働ける職場になるようアップデートし続けるべき」と使命感が高まったという。近年では、2つの高校でゼミを持ち、「目に見えるものや生活に密着する多くの事柄が建設業に関わっている」と建設業の重要性を伝え、魅力を発信する活動も行っている。最も重視する点は、やはり「ひと」。大畑専務が社員と共に進める改革。その熱が途絶える気配はない。



この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







