クラフトバンク総研

神奈川県左官業組合連合会・青年部

更新日:2026/3/16

【器量を押し上げる勉強会】

神奈川県左官業組合連合会・青年部では、建材メーカーの協力を受けた製品の勉強会を開催している。近年では、野丁場と呼ばれる大規模なビル・商業施設の施工で使用する材料の配合などを学ぶ他、町場と言われる個人顧客や小規模の会社での現場で駆使する技術を伝授。特に町場を主体に活動する会員にとっては、年に数回しか使用しない素材も多く、鈴木一也青年部長は、勉強会を「左官職人としての器量を押し上げられる貴重な場」と位置付けている。現在、青年部に所属する会員は約50人。親会が主催する技能検定試験や技能コンクール、総会のサポートだけでなく、団体として若手職人を育成することにも乗り出している。

【蓄積した知見を教え切れる】

青年部という組織を「もっと親会に対して、率直な意見を提言できる体制に変えたい」と鈴木青年部長は述べる。現段階でも若手から出る「もっと細かな技術を習得したいから、勉強会の頻度を増やしてほしい」という声を汲み取る土壌はある。しかし、「どんな細かな要望でも、即座に親会に伝えられる風土を確立しなければ、これから巻き起こる変化には追い付けなくなる可能性が高い」と見立てている。意欲ある会員は多い。この熱に応え続けるためにも、「資材高騰などで厳しい状況下にあるが、メーカーとも綿密な協力して、蓄積した知見を後世に教え切れる環境を整えたい」と意気込みを見せる。鈴木青年部長は、親会と青年部の双方に挟まれる、言わば中間管理職のような立場にいる。だが、自身は「これをチャンスと捉え、連合会全体をより良い団体にしていく」と前向きなスタンスを見せる。

【団体としての間口を広げる】

直近での克服すべき課題を、鈴木青年部長は「会員の増員と、その増えた会員の8割程度が、連合会が開催するイベントに出席すること」と言い切る。現状での出席率は全体の5割程度。「会員になるメリットは、同じ立場の様々な企業が交流を持つことで、最前線の情報を共有できること。この強みを未加入の企業にも理解されるよう、引き続き活動を活性化していきたい」と覚悟を示す。鈴木青年部長としては、未加入者から「親会に入会すれば、社員を青年部に入れられる」と考えられることを理想としており、団体としての間口を広げられるよう、試行錯誤を繰り返している。

【代替できない仕事】

左官業の魅力を鈴木青年部長に聞くと、「他に出来ることが無かったからかな?」と笑みを浮かべならがも、「左官業は、AIを含めロボットには取って替えられない唯一無二の技術だ」と断言した。今後、テクノロジーが今より更に発達すれば、大規模なテナントやイベントホールなどの一部では、吹き付けなどがDXに代替される可能性はある。しかし、戸建てなど細かな作業をITで補うことは不可能であり、「だからこそ、代々受け継がれてきた伝統芸能を後世に伝承していきたい」と強い信念を表明する。「正直に告白すると、私自身も連合会と関わるようになって、初めて野丁場での仕事が奥深いと理解できた。歴史と高度な技能が合わさる特有の世界が途絶えないよう、直近では『左官業は儲かる』という世界を創出していきたい」と前だけを見つめる。親会の舘花猛会長とも関係は良好であり、日本左官業組合連合会との連携も可能だ。左官業の生き残りを賭けた鈴木青年部長の挑戦は続いていく。

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