中国地方建設青年交流会
更新日:2026/8/24
【新会長に就任】
中国地方建設青年交流会の新会長に、都間清隆氏(都間土建・代表取締役)が就任した。島根・鳥取・広島・岡山・山口の中国5県で構成される同交流会は、各県の役員らで構成する30人の会議体である。会長職は毎年各県での持ち回りとなっており、今年度は鳥取県の井木寅雄氏(井木組)からバトンを引き継ぐ形で選出された。中国5県での広い視野の中で意見を交換ながら交流連携を図り、広く行政・地域社会からの協力を仰ぎ、魅力ある地域建設業者のあり方を目指す組織。長い期間をかけて地元と向き合い、担い手の育成に全力を尽くしてきた都間会長にとって、この就任は必然とも言える一歩であり、「会員1人ひとりが主役になれる団体運営を心掛けたい」という言葉に、トップとしての覚悟が滲み出ている。


【5県での制約を逆手に取る】
今年度の活動テーマを、都間会長は「担い手だ」と断言する。若手の就業者不足と就労者の高齢化が業界全体に影を落とし、会員企業の減少にも歯止めがかかる様子はない。この現実に対して都間会長は、「新規入職者の確保」と「既存の人材定着」という2つの基軸をメインに据えた。中国地方の5県はエリアも広く、統一のイベントを打ち出すことは困難な状況にあったが、各県の代表者が「人が辞めない環境づくり」の事例を共有する研修会を考案。各県の1名が15分ずつ登壇し、自社の取り組みを発表する企画を、現在は10月の開催に向けて調整している。「各県での実態が違うからこそ、互いの取り組みを知ることに意味がある」と意義を説く。5県の広がりという制約を逆手に取り、多様な実践知を束ねる場をつくる発想の転換が、新たな活力を生み出そうとしている。


【魅力を粘り強く伝え続ける】
都間会長は「担い手確保の最前線は、各県の現場にある」と持論を展開する。自社が所属する島根県建設業協会では、松江工業高等専門学校の土木系学生を対象にした「一日現場体験」を継続的に実施。学生を出身地である現場に配属し、レベル測量やドローン操作を体験する機会を提供することで、地元で働く将来を想像させ、地場企業に就職を促すよう試みているという。昨今では、スーパー・大手ゼネコンが地方の高校にまで採用をかけ始めるなど、人材の獲得競争は激しさを増すばかりである。また、島根県建設業協会青年部会では、3年前に発注者側とのICT施工に対する意見交換の機会であるICTワーキンググループを発足。行政との良好な関係を維持できたことで、島根県におけるICT土工の施工実績を約30件から約70件へと倍以上に拡大するなど、現場施工の改善を実現したようだ。究極の打開策は、「地元に長く根付いてきた建設業の魅力を、粘り強く伝え続けること」。一切の迷いなく言い切る言葉には、積み重ねてきた年月の重みが見て取れる。

【新3Kを実現するために】
現在、都間会長は島根県建設業協会の青年部会長も兼任しており、県と中国5県の全方位から業界の課題克服に向き合い続けている。青年部会としては今年度、会員資格となる年齢上限を引き上げ、従来の45歳から50歳としたことで、経験豊富な世代を組織内に留めることができ、若手との橋渡しとしての役割を果たしている。最終的に見据えるのは「新3K」の実現であり、「建設業界をより良い環境に変えるため、改善・改良を繰り返したい」と並々ならぬ意欲を見せる。自社での理念は、「地域と共に歩み住みよいまちづくりを創造する」。業界全体の底上げにも視野を向ける都間会長の熱は、既に交流会の30人にも伝播している。担い手不足という終わりなき難題と対峙する都間会長。バックボーンには、120年に渡り地域の建設業として、島根の土木・建築を支えてきた都間土建の歴史と実績が存在する。中国5県を束ねる新体制が、業界にどのような影響を与えていくのか。新たな組織としてスタートした中国地方建設青年交流会の挑戦は続いていく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








