富山県建設業協会
更新日:2026/8/4
【8代目の会長に就任】
昨年5月に開催した富山県建設業協会の総会にて、大橋聡司氏(大高建設・代表取締役社長)が会長に就いた。30代後半から自社の社長を担い、これまで同協会の青年部会長や支部長など数々の要職を歴任。様々な状況下でリーダーシップを発揮する環境に身を置いてきたことが、今回の就任に繋がった。同協会では8代目の会長にして、初めて富山市以外に本社を構える企業がトップに立つ形となり、大橋会長も「時代の変化に呼応する団体運営を心掛けている」と胸の中を打ち明ける。自身は現在、全国建設業協会の副会長も任されており、全国および富山県に山積する建設業界の課題を、どのように解決していかにも注目が集まっている。

【最先端が若者を惹きつける】
協会としての最優先事項を「担い手の確保」と断言する。昨今では、社会インフラが急速に老朽化し、リニューアルすべき時期に突入している。身体を酷使する建設業の魅力を高めるには、やり甲斐や社会貢献性を適確に明示する必要があり、大橋会長は「ICTやDXなどを駆使し、今以上に建設業界のカッコ良さをアピールしなければ、若者に魅力が行き届くことは難しいと考えている」と持論を述べる。自身が社長を務める大高建設では、VRを活用した遠隔現場見学や重機操作シミュレーション、AIによるデータ分析など、DX事業の内製化を実現。アウトソーシングすることなく、社内で開発・改良できるメリットは計り知れず、「収益性を高めることで、『人』に投資できる環境が作れる。この過程を経て、ようやく福利厚生や賃金アップなど、具体的な施策を打ち出せる流れを作れる」とポイントを話す。旧態依然とした職場のままでは、若手が入職を躊躇するのは当然と考え、人を呼び込むには最先端の技術が不可欠という概念により、大高建設では毎年の新卒採用に成功している。同社は全国的にも突出した存在だが、大橋会長は「当協会の会員企業にも、まだDX導入に取り掛かれていない企業は多いので、ここは団体全体で克服を目指したい」と意気込みを見せる。

【自然豊かな富山を守るために】
大橋会長は、富山県の公共工事費が横ばいに推移する現状を「人件費・資材の高騰が加速する中、この状況の継続は利益の目減りを招き、それは業界衰退に直結する」と危機感を示す。富山県には、日本三霊山の1つである立山や、常願寺川流域の土砂災害を防ぐ立山砂防、急流河川の黒部川・常願寺川などが存在する。自然に恵まれてはいるが、いざ歯止めの利かない天変地異が発生すれば、現状のままでは県民の生命・財産を守れなくなる可能性が高まる。このような現実を踏まえ、協会では行政に対して、地域のインフラを崩壊させないため、エビデンスに基づいた公共事業費の増額を提案し続けている。「富山県の公共工事費の総額は、全国でも下から数えた方が圧倒的に早いほど少ない。自然が豊かな分、突発的な事故も多く、予算を押さえなければ緊急時に動けない現実もある。経済成長が鈍化して全体のパイが縮小し続けているジレンマもあるが、自治体とも綿密な連携を取ることで良い循環を構築したい」とバランスを重視したスタンスを示す。

【地域の創り手・守り手として】
富山県は今年、深刻化する人材不足に対応するため、建設業を「エッセンシャルワーク」の分野に指定した。これは大橋会長が以前より、協会を通して働きかけてきた事柄であり、全国の都道府県でも建設業が指定されたのは稀なケースだという。「建設業が『生活と社会基盤を維持するために必要不可欠な仕事=エッセンシャルワーク』に含まれない現実は耐えがたかったので、この決定に安堵している。しかし、これだけに満足することなく、全国的にこの現実を普及する活動も手掛けていきたい」と意向を示す。自身は祖父が創業した建設業の家で育ち、物心が付いた頃から地域の人々から「いつもありがとう」と感謝の言葉を受けることが多かった。このような原体験を基に、「今度は私が地域に恩返しをする番」との思いを強く持ち、日々の業務に取り掛かる姿は輝いて見える。「地域の創り手・守り手として、建設企業の経営基盤を強化する」。与えられた使命は多く、今は全身全霊を懸けて職責を全うすることに集中している。

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この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








