群馬県鉄筋工業組合
更新日:2026/9/2
【新理事長に就任】
今年1月1日、群馬県鉄筋工業組合の理事長に高井義成氏(高井工業・代表取締役)が就任した。副理事長という役割を経て巡ってきた重責。プレッシャーを感じているのかと思いきや、「順番で回ってきただけじゃないかな?」と微笑みながら冗談を言う。会員として所属する企業数は29社。県内の各地域では役割が明確に分かれている点や、同業者同士の繋がりが強いメリットを活かし、新たな流れを生み出すことを心掛ける。「2020年10月に社会保険の義務化が施行したが、未加入でも今なお現場で作業できる弊害は、全社が加入する当組合にとっては大きい。ダンピングを防ぐためにも未加入業者が同じ土俵に上がれないよう取り組みたい」と意気込みを見せる。

【標準見積書の浸透を目指す】
高井理事長が最も強く意識するのは「現場で働く職人の処遇を改善すること」である。この問題点を克服する突破口として、法定福利費や安全衛生経費などの内訳も明確に記載した「標準見積書」の定着を挙げる。「若者の入職者が多いエリアを分析すると、高い単価を維持できており、その全てで標準見積書の浸透が確認できた。組合としてはこの現実と向き合い、他県からの協力を得ながら普及促進を目指したい」と志向する。今年5月には、埼玉、栃木、群馬 北関東3県の鉄筋業協同組合と共同で「標準見積書作成説明会」を開催。実際に駆使する企業は、どのような体裁を保ち依頼に至っているのか。また、提出後にあった元請け側からのリアクションなどを知れたことが「今後の団体運営を進める上で大変参考になった」と実感を込める。全国では、コンプライアンスを重視する大手ゼネコン以上においては了承される傾向が強い。しかし、まだ地場ゼネコンでは明らかに難色を示すケースも多く、「難題になるが、『専門工事会社が生き残るためには避けて通れない道』と理解して頂けるよう、引き続き活動を加速化させる」と並々ならぬ意欲を示す。

【企業・団体を超えた連携を】
昨年12月には改正建設業法が施行された。それ以降、働き方改革の推進が謳われ続けているが、現実では工期を重視する元請けの意向により、全ての帳尻を合わすには、専門工事業者にしわ寄せを押し当てる事例もいまだに多い。「もちろん賃金の改善も重要事項だが、今の若者が働く上で求める大きな要素が『休日の確保』。各企業で週休2日の動きも進めているが、県内の団体単位で歩調を合わせなければ、あらゆる課題解決は極めて厳しいと感じている」と本音を述べる。現状では閑散期に入るとダンピングが起きてしまう問題もある。このような現実を考慮し、高井理事長は「まずは企業・団体を超えた連携から始めることで、新しい枠組みを模索したい」と一貫した主張を繰り返す。

【更なる団結を実現するために】
就任から半年以上が経過したが、高井理事長は「今後は関東エリアだけでなく、組合員が他県の鉄筋工事組合とも積極的な交流が図ることで団結を促したい」と明示する。現段階では、標準見積書の提出を徹底すると、正直に申請した企業から苦境に追い込まれる可能性もある。この事態を避けるためにも、「全国の同業者から幅広い情報を集め、どのような過程を経て単価を上げ、企業・団体永続への道筋を付けられたのかなど、組合員と一緒に学ぶことから始めたい」と基本方針を示す。自身が経営を手掛ける高井工業では、2年ほど前に息子が新卒で入社し、鉄筋工事業のノウハウをゼロから習得し始めている。貴重な一歩を踏み出せたことは大きく、繰り出される言葉からは熱量が溢れ出ていた。「周囲から知見を得て、群馬県鉄筋工業組合が結束するには何が必要か」。高井理事長の思考過程は常に明瞭で、近い将来いかにして変貌を遂げるか注目である。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








