東京都鉄筋業協同組合・青年部
更新日:2026/9/16
【鉄筋業界を良き方向に導く】
昨年、東京都鉄筋業協同組合・青年部の部会長に矢竹雄希氏(矢竹鉄筋工業・専務取締役)が就任した。青年部は、若手技能者の育成や労働環境の改善、鉄筋業界の魅力を発信するために積極的に取り組む組織。親会から出された課題の解決策を提案する動きも見せており、3ヶ月に一度の頻度でメンバーが集まり、各々の英知を集結させることで現状打破を目指している。矢竹青年部長は、「就任から1年が経過したが、日頃から新妻尚祐理事長(新妻鋼業・代表取締役社長)と小林雅人顧問(小林興業・代表取締役)の2人が綿密に連携を図り、献身的なサポートを続けて下さるので、スムーズな組織運営ができている。鉄筋業界内では、現在進行形で改善すべき問題点も多く、克服には多大な労力を要する。今後も団体で活動する強みも活かすことで、徐々にでも全体を良き方向に導きたい」と意気込みを述べる。

【標準見積書の定着を目指す】
2025年12月には、改正建設業法が完全施行された。これにより現場作業者の処遇改善や資材高騰によるしわ寄せ防止などを実現するため、極端な安値受注や無理な短工期での施工を、協力会社に促す風潮に一定の歯止めは利いている。現実として1年前よりは単価が数%アップするなど、具体的なメリットも出始めた傾向もある。しかし、矢竹青年部長は「国が法律で定めたにも関わらず、安全衛生費や労務費などを盛り込んだ見積書を見せると元請けからは、まだ『正式だと考えるものを出し直して』と言われるケースや、このような状況を恐れ自らの判断で提出を控える鉄筋工事会社は多い」と危機感を募らせる。実際に人工から単価を算出し、その合計を頭数で割る形で単価を積算する「鉄筋工事標準見積書」を活用できている企業は少なく、「現時点では、標準見積書をゼネコンなどに提案する以前の段階で停滞しているので、私たち専門工事業者側の覚悟も改める必要がある」と呼び掛ける。

【過渡期を乗り越えるために】
矢竹青年部長は「新妻理事長が言われるように、現実として首都圏の鉄筋業界は代々続けてきた『家業』が第一線を牽引しなければならない」と切迫感を表す。都内には新規で設立される鉄筋工事会社も増えている。しかし、団体に所属することなく、自力のみで事業を展開する業者が増える現状を前に、「今は全ての専門工事業者が生き残りを果たせるか、最も重要な時期に直面している。過渡期であるからこそ連携を模索し、共に打開策を見出せるよう努力を続けたい」と意欲を見せる。矢竹青年部長は10代の頃から現場を担い、20代では法人化も実施した。一昨年からは、父・直司氏が創業した「矢竹鉄筋工業」に所属し、自身で立ち上げた会社もグループとして運営する形を取れている。「近年、鉄筋業界に入職する若手には、営業や管理のみを希望する人々が多い。だが、双方は現場の流れを体感できなければ、なかなか要領を得られない。常に人手不足が続く状況だが、このようなズレを防ぐ動きも青年部として取り掛かりたい」とのスタンスを指し示す。

【安全・安心な施工を提供するために】
青年部としての当面の目標を、矢竹青年部長は「とにかく加入者を増やして、青年部を活気溢れる団体として確立させること」と明言する。単価アップを実現させ、若手人材の確保を早急に進める必要に迫られるなど、一筋縄では解決しない問題も山積みである。しかし、矢竹青年部長は「思い通りに物事が進まない状況下だが、近年はDXサービスを駆使することで無駄を削減し、生産性向上に繋げられている組合員も増えている。鉄筋工事業は、建物の『骨組み』を1から作り上げる魅力あるもの。今後も先進技術と熟練した技能を融合することで、安全・安心な施工を提供できるよう、青年部で一致団結していきたい」と展望を述べた。

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この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








