クラフトバンク総研

三次市建設業協会

更新日:2026/8/25

【三次市建設業協会が再始動】

 今年4月に三次市建設業協会が再始動した。会長には加藤修司氏(加藤組・代表取締役)が就任。同協会には、2000年代前半にあった自民党内の政争に翻弄される形で解散を余儀なくされた過去がある。その後は同じ枠組みを組合に変え活動してきたが、加藤会長は「公的な立場で業界の権利を主張するには、営利団体である『組合』から『協会』という形に転換する必要があった」と再設立の経緯を語る。発足に当たっては組織の刷新も敢行。以前の協会では、特定の企業が強く影響力を持つ傾向があったが、規模を問わず会費を一律化することで発言力を均等に保ち、全会員が同じ責任を背負える組織に生まれ変わりを見せた。広島県建設業協会連合会への加盟も果たし、「地域を守るという一点に集中して活動していく」と並々ならぬ決意を示している。

【「地域の守り手」は地場建設業が担うべき】

 近年、M&Aなどにより広島県とは無縁の企業が公共事業に関わるケースが後を絶たない。加藤会長は、このような状況を「県民の税金で成り立つ事業を、地域に全く思い入れのない企業が担う違和感は拭えない」と包み隠さず話す。本来、インフラ維持や災害対応を支えるのは、地元に機材と人員を備えた地元の会社であるべき。「我々は自らの手で郷土を守る『自警団』の役割を果たすべきだ」と強調する。この具現化を見据え、協会では行政と締結した包括的防災協定を足掛かりに、地域事業者が継続的に受注できる、具体的なインセンティブ制度の確立を働きかける。長く地場に根差してきた建設業者を「地域の守り手」として公認し、入札時の加点対象とするなど趣向を凝らすことで、循環する仕組み作りを模索している。

【官民のDXギャップを埋めるために】

 自身が経営する加藤組では、30年以上前からペーパーレス化を推進。中国地方整備局では、初めて電子納品を実現するなど、県内におけるデジタル技術の活用をリードしてきた。しかし、加藤会長は現在のICT活用に対する視線は厳しく、「企業側が最新技術を駆使しても、行政側の受容体制が整わなければ、結果としてアナログな工程が介在してしまう」と警鐘を鳴らす。生産性向上を阻む要因と考えるのは、「官民にある様々なギャップ」。技術活用の意義を最大化させるには、「形骸化させないシステムの構築が不可欠」と断言。形式的な技術導入で終始するだけでなく、現場の負担軽減に直結するDXの実現に向け、官民が足並みを揃えて取り組むべきと、今後も粘り強く問い直していく方針を固めている。

【技術者を「量から質」へ】

 建設業界の持続可能性を追求する上で、加藤会長は「資格者の数よりも技術者の質を上げるべきだ」と訴える。現在、県内における有資格者数は飽和状態にある一方で、個々の待遇改善は一向に進まない状況に直面している。この現実に対して加藤会長は「入札のための頭数を確保するだけでなく、年収2000万円を目指せるほどのプロフェッショナルを育て、ステータスを確立すべきだ」と言い切る。責任の重さに見合った報酬と社会的地位を保証することで、建設業を「若者が憧れる産業」にアップデートしたい。自社である加藤組でも、現場責任者が負うべき重い法的責任を、敢えて若手に説くことでプロとしての覚悟を促している。加藤会長の「『資格』は単なる紙切れではない。地域の人命と暮らしを預かる重責の証」というメッセージは、次の世代を担う技術者たちの意識を根底から変える可能性を有している。「地域を守ることで、人をも育てていく」。加藤会長の揺るぎない理念のもとで再度の誕生を果たせた三次市建設業協会。地場業者の矜持を胸に、若者を迎え入れる体制強化を続けるエネルギーは人を引き寄せており、それは広島の未来を支える礎となるはずである。

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