クラフトバンク総研

「心の豊かさ」を重視する。アスピアが「現場」の最適解を追求

更新日:2026/4/13

 アスピア(長野県松本市)が、昨年6月に西側新社屋「ASUPIA NEXT」を竣工した。脱炭素社会に向け、木材の利用を積極的に進めた建物では、年間の一次エネルギー消費量ゼロを目指すZEB(Net Zero Energy Building)を取得。エステート事業部のオフィス、社員交流の場としてだけでなく、地域の人々も利用可能な施設としても機能しており、街にこれまでにない賑わいを与えている。百瀬方洋社長は、「昨今、主流となっている『安く・早く』という概念でなく、難易度の高いコンセプトを基軸に完成させた。災害時には避難場所の拠点としても活用できるよう、蓄電池や救援物資の保管・集積場所も備えている。会社としても地元が更に盛り上がれるよう、様々な取り組みを継続したい」と意気込みを見せる。

 アスピアの企業ビジョンは、「『つくる』ことで、心を豊かにし、喜びを分かち合う世界を実現する。」である。これは百瀬社長が社長に就任後、会社のロゴと同時に刷新したもので、事業を展開する上での礎となっている。「快適な環境を創出できる『心の豊かさ』を銘記するため、社員と綿密な打ち合わせを続け策定した。この意義を会社全体で掘り下げられるよう、日々の業務を先鋭化していきたい」と覚悟を示す。同社では、働き方改革の対応を推進。設計、不動産、営業部門の一部の社員は、フレックス制度、時短勤務、在宅勤務をスムーズに導入し、社員のライフステージに合わせた柔軟な働き方を実現している。AIや3次元測量、BIM/CIMといった先端技術も、現場からの声を汲み取りながら着実に実装を果たせた。しかし、百瀬社長は「建設現場という『リアルな場』だけは、まだ答えが見えていない」と現況を述べる。天候、工程、安全管理、協力会社との連携―。現場には物理的な制約が多く、オフィスワークと同じ発想では解決できない難しさが存在する。それでも「ここで立ち止まる訳にはいかない。建設業界自体が『選ばれる産業』に変貌を遂げる為、これからも考えていきたい」と意欲を見せる。

 20~30代の社員が約40%を占めるアスピアだが、勤続年数が20年以上と長く勤めるベテランも多く、Iターン・Uターンを経て入社するケースが増加傾向にある。百瀬社長が基本理念として掲げるのは、「希望すれば誰でも長く働ける職場環境を作ること」。取材中には、「『ゼネコン』『工務店』『不動産』と呼ぶと、何となく『作って売ったら終わり』という印象を持たれるから、『街づくりを実現する会社』として定着させたいな」という本音も垣間見られた。今年3月3日には創業65周年を迎えた。昭和から平成、令和と長い時間をかけて信州に寄り添い続けたアスピアは、今後も未来を見据えた組織運営を心掛けていく。

新着記事

  • 2026.09.15

    次のステージに向けた動きを加速 飛田鉄筋工業

    「会社経営に携われるチャンスが目の前にある。これを逃すと後悔が残ると感じた」。  飛田鉄筋工業(東京都板橋区)の飛田拓也専務が、新卒で外資系企業に7年ほど勤め、30歳を迎える前に肌で感じた本音である。家族からは生まれてか […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.09.11

    社長就任を機に、東建が可能性の拡張を追求

     東山祐士氏が昨年、東建(東京都八王子市)の代表取締役に就任した。幼少期からバーベキューなど会社のイベントに参加しており、「いずれ引き継げる存在になりたいな」との思いを抱き続けてきた家業。新卒ではIT系の会社に就職し、ま […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.09.08

    創業100周年を見据え、中日建設が果敢な挑戦を継続

     中日建設(名古屋市中区)は昨年度、元請けとして受けた名古屋高速道路公社の大型工事を完遂するなどして、過去最高益を記録した。代表取締役として会社を牽引するのは髙木賢一朗氏。3代目の社長として組織の舵取りを担ってから、間も […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.09.04

    次なる成長を視野に、近藤建設が組織体制を強化

     今年10月に近藤建設(埼玉県ふじみ野市)が創業65周年を迎える。不動産やリフォーム、システム会社などをグループに持ち、設計・施工から維持管理までワンストップで担える体制を強みに、確固たる地位を確立している。現在、トップ […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一