クラフトバンク総研

創業80周年を見据え、へいせいが進める人づくりとまちづくり

更新日:2026/10/2

 株式会社へいせい(福岡県糸島市)は、2027年に創業80周年という大きな節目を迎える。社長を務める西原幹登氏は、「人と地域のお役に立ち、共に働く仲間が誇れる組織でありたい」との思いを語る。

 これまで時代の変化に応じて柔軟に事業領域を広げてきた同社は、2026年に更なるクリエイティビティを発揮していくために、社員同士やお客様のコミュニケーションが向上し、人が人を磨く空間を目指した新館を本社前に増築。「社員と地域がつながり、共にまちづくりを考える新たな拠点としていく。見据えるのは、人を育て、地域と共にまちをつくり、糸島に明るい明日を残していく未来だ」と語る。80周年を、これまで築いてきたものを受け継ぎながら、次の80年に何を残していくのかを考える節目と捉え、地域に深く根差し、人を育てる経営をさらに進めている。

 若手や職人がいきいきと育つ環境づくりに向け、同社は教育と採用のあり方を再構築した。施工管理技術者に加え、住宅部門では社員大工を雇用して技術の継承を進める一方、ベトナムのズイタン大学内に「へいせいスキルアップラボ」を設け、CGパースやBIMなどの実務教育に取り組んでいる。ベトナムのラボで学んだ学生を糸島本社にインターンとして受け入れ、卒業後の正社員採用にもつなげている。

 また、「地域と共に育つ」の実現のために、地元大学である九州大学から学生インターンの受け入れにも積極的に取り組み、学生は地域調査やイベントの企画・運営を通じて糸島の魅力を発信し、地域活性化につながるアイデアを形にしている。西原社長は「次のステージへ羽ばたけるような起業家精神を持った人材を育てたい」と語り、一人ひとりの可能性を広げ、若い世代の主体的な挑戦を力強く後押ししている。まちづくり事業などにも参画してもらうことで産学官連携の事業も実現させている。

 人材不足・担い手不足が進む中、限られた人材が本来の仕事に集中できる環境をつくるため、同社は新技術の実証と社内業務の効率化を進めている。建設用3Dプリンタを導入し、工事現場でコンクリート擁壁やベンチなどの造形物を設置するなど、実用化と事業化に向けた検証を重ねている。同時に社内の業務工程を見直し、現場監督の残業時間を従来比で約3割削減した。その削減した時間で、更なるサービス開発を行っている。西原社長は「デジタル技術を駆使したDXを推進し、業務が集中しがちな現場の負担を軽減することで、本来の仕事により集中できる環境をつくっていきたい」と語る。人を育てるだけでなく、一人ひとりが持つ力を十分に発揮できる環境を整えることで、より働きやすく、一人ひとりが力を発揮できる会社づくりを進めている。

 同社が事業を通じて大切にしているのは、地域の人々とのつながりを育み、暮らしの豊かさと地域の魅力を高める「まちづくり」への思いである。前原商店街のにぎわい創出を目指し、へいせいが実行委員会の一員として開催に携わった「第1回糸島にぎわい餅つき大会」には、学生インターンも企画段階から参加。初開催ながら約2,000人が訪れた。西原社長は「『金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上』という言葉があるように、人を育てることが何より大切だと考えている。一人ひとりの成長が、会社の成長、そして地域の未来につながる。これまで育んできた人の力を原動力に、事業を通じて人と街を元気にしたい」と語る。創業以来培ってきた地域とのつながりを大切にしながら、人を育て、人が力を発揮できる環境をつくり、その力を事業やまちづくりにつなげていく。2027年の創業80周年を一つの節目として、へいせいの新しい挑戦は本格化する。

新着記事

  • 2026.10.02

    「地域の課題を、資産に変える」。中城建設が挑む新たなフェーズ

     「地域の課題を、資産に変える」。  中城建設(仙台市)を牽引する結城創社長の掲げる経営信条である。全国に先駆けて超高齢化と人口減少が進む東北は、日本の未来を凝縮した「課題先進地」とも呼ばれている。人口増加を前提とした、 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.09.29

    菅与組が5年間の変革に挑む

     今年6月、菅与組(秋田県潟上市)の代表取締役社長に畠山宗太郎氏が就任した。  創業105年の歴史を誇る同社が、120周年を迎える頃には「2040年問題」など社会構造の激変が予想されるが、畠山社長は「従来のやり方のままで […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.09.18

    社長就任を機に、松本建設が現状打破を継続へ

     松本建設(徳島県小松島市)の松本満理子氏は、父・英進氏の急逝した2023年に代表取締役に就任した経緯を持つ。突如回ってきたトップとしての重責。それまで取締役として公共工事や徳島県建設業協会の理事などは担ってきたが、経営 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.09.15

    次のステージに向けた動きを加速 飛田鉄筋工業

    「会社経営に携われるチャンスが目の前にある。これを逃すと後悔が残ると感じた」。  飛田鉄筋工業(東京都板橋区)の飛田拓也専務が、新卒で外資系企業に7年ほど勤め、30歳を迎える前に肌で感じた本音である。家族からは生まれてか […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦