松吉建設が「火付け役」としての役割を全う
更新日:2026/4/9
今年4月に松吉建設(福岡県糸島市)が、創業65年を迎えた。土木工事業を祖業にしていた同社は、時代の変化に応じて事業領域を広げ、現在はマンション施工を主軸とする総合建設業に進化を遂げている。次の世代を担うのが専務取締役の松吉孝達氏。「地域の火付け役となり、地域の皆さまに恩返しがしたい」と発する熱い言葉には、並々ならぬ覚悟が溢れ出ている。

松吉建設は、「マンション」「戸建て住宅」「土木」の3本柱で事業を展開している。その中核を成すのが、賃貸・分譲マンション建設だ。グループ内に設計事務所と不動産会社を擁することで、土地の取得から設計、施工、販売までをワンストップで対応できる体制を構築する。「約40社からなる協力会との強固な関係性が、人手不足に陥る現状においても、品質と工期を守り続ける要になっている」と強みを示す。近年では、年間約10棟の建設を定期的に実施するなど、安定受注により着実に実績を伸ばしており、蓄積した技術力が顧客からの厚い信頼に繋がっている。


会社のターニングポイントとなったのは8年前。松吉専務が指揮を執る形で戸建て事業に参入した際、「会社の認知度を飛躍的に上げなければ何も始まらない」と痛感し、地域との本格的な接点づくりへと乗り出した。その時に始動させた取り組みが「こども大工」。保育園などで建築端材を活用し、椅子や写真立てを製作する体験を提供した。モデルハウスを地元出身である料理研究家の料理教室として開放するなど、従来の発想に囚われない展開も、地域との距離感を縮める重要な一手となったという。


このような活動は現在も継続しており、最近では地元の小学生を対象に「未来の糸島」をテーマとした絵画コンクールを構想。優れた作品を建設現場に掲示し、子どもたちの夢を周知する計画であり、教育委員会との連携も視野に入れる。対外的な知名度の向上は、集客以外にも社員や家族が会社に愛着を持つ効果も生んでおり、「社内外に予想外の好循環をもたらせたことが、何よりも嬉しい出来事となった」と一連の経緯を振り返る。


39歳の松吉専務は、自身を「次を担う世代」と定義している。建設業の魅力は「地図に残る仕事であり、災害時には地域を守るために最前線に立つ存在であること」。その誇りを社内で共有しながら、商業施設や医療施設などにも事業の幅を広げていく方針を掲げている。今後、事業成長と地域貢献を両立させながら、糸島の未来を動かす「火付け役」はどのような躍動を見せるのか。その果敢な挑戦に着目すべきである。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








