新卒定着率を武器に、新栄重機土木が次なる領域を見据える
更新日:2026/3/30
新栄重機土木(横浜市南区)が、来年3月に創業60周年を迎える。同社は、土木を主軸に横浜のインフラ整備を手掛けてきた建設企業。業界全体で人手不足が深刻な課題となる中、現在は人材の確保・育成に重点を置き、新卒採用を加速させている。過去3年間の新卒採用者の定着率は100%。全社員約30人のうち、約3割が女性という異例の社員構成となっている。新井正和社長は、「文系・理系を問わず、意欲ある若者を広く受け入れる」との大胆な戦略を掲げており、20代の若手が現場で活躍できる、活気溢れる組織構築を目指している。

この流れの大きな契機となったのは、「6年前に新卒採用を本格始動できたこと」。従来までの「理工学系の男子学生」に絞る方式でなく、文系の女子学生にまで門戸を開放したことが、性別を問わない多くの応募に結び付いた。「コロナ禍で採用市場が一時的に買い手市場になったこと。また、事務職ではなく現場職を希望する潜在層にアプローチできたことが、変革を実現できた鍵だった」と冷静に分析する。女性技術者が増えることで、現場の空気感も変わり、新たな視点・アイデアも増えた。「建設業だから男性」という固定観念から脱却し、希望した業務に就ける環境を整えたことが、可能性・多様性の拡張に繋がったという。

新井社長は、建設業界で若手社員の定着率が低い要因について、「本人のせいではなく、育てる会社側の責任」と言い切る。同社の育成における最大の特徴は、新人を即戦力として急かさない点にある。文系出身者や女性が未経験で入社しても、「最初はできなくて当たり前」という前提に立ち教育を推進。具体的な目標としては「入社3年で何かしら結果が出せるように育てること」を掲げ、個々人と向き合った段階的な成長を心掛けている。「即座に『エース社員』となる必要ない。脇を固めるサブの役割を果たす若手や、後から伸びる『遅咲き』のメンバーも評価する。それぞれの個性を活かすことが、若手の心理的安全性の強化と、高い定着率に関連している」と実感を込める。

新栄重機土木は、「若手に選ばれ続ける会社」であり続けるための環境整備を徹底している。年間休暇日数は、業界内でもトップクラスの130日に設定。業界の大きな課題である休日の確保を「完全週休2日制」として定着させ、昨今の物価高騰にも対応していち早くベースアップを断行した。新井社長は「物価が上がる局面で給料を上げるのは、市場原理としては当然のこと。現場で汗を流す社員に正当な対価を還元することで、若手社員のモチベーションを維持したい」と語り、常に健全な組織運営を目指している。

新井社長は長年、横浜建設業協会・南区会長を務め、地域の防災や街づくりにも深く関わってきた。「誰かがやらなければならない」という使命感を持ち、地域の安全を最優先にする姿は、社員たちが働く誇りにも直結している。現在の目標は、「新卒採用を続け、組織の強化を図ること」。新栄重機土木の若手社員たちが着実に「一人前」に育ち、次世代のリーダーとして横浜の街を支える未来は、すぐそこまで来ている。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








