大旭建業が地域との絆を活かした経営を継続
更新日:2026/1/30
大旭建業(神奈川県藤沢市)の村上進氏は、31歳の若さで代表取締役社長に就任した。4年弱ほど大手ゼネコンで修行を積んだ後に家業である同社に参画。父が以前より宣言していた「60歳で引退する」という言葉に伴い、異例の若さで会社のトップに就く形になった。その後、間もなく社内の急拡大を実施したことで、先代の側近を務めていたメンバーからの反発を経験。長い膠着状態が続いたが、最終的には外部からコンサルの力を借り、厳格なルールを設けたことで、「不平不満を公言する社員が自らの意志で退職する流れを作り出せた」と振り返る。去り際に「大旭建業は終わったな」と言い放たれたことには「あまり思い悩むタイプではない私も、さすがに落ち込んだが、『必ず実績で見返す』と奮起した」と現在にも繋がる溢れ出る情熱の源泉を示す。

建設業を主軸に事業を展開するスタンスは変わらないが、10年程前から不動産管理業や太陽光発電事業などにも着手する。「価格競争に巻き込まれないよう、会社として様々な選択肢を残すこことを心掛けている」とスムーズな組織運営を心掛ける動機を明かす。目下の課題は、「人材の採用と育成」。大手ゼネコンが高校生も対象にしたスカウトが始められている現実を考慮し、自社では身近な関係者からの紹介を基にするリファラル採用に注力する。「入社前は少し不安を覚えた若手も、当社のベテラン社員の根気強い指導により、順調な成長を遂げられるようになった。地道かつ堅実な作業が必要になるが、地場に根差した建設会社として、誰が入っても1人前に育てられる職場を確立していきたい」と意欲を見せる。2022年5月には「かながわSDGsパートナー」、2024年には「ふじさわSDGs共創パートナー」に登録した。神奈川県・藤沢市内のパートナー企業・自治体との連携を強化することで、SDGsを積極的に推進することも意識している。

村上社長は「本来だったら、私も父と同様に60歳で引退したかったんだ」と微笑みを浮かべながら本音を漏らす。しかし、直後に「それは不可能だと悟った。当面は、自分が今できる最善のことに全力を尽くす」と改めて覚悟を見せる。現在、藤沢市建設業協会では会長も務めており、2023年からは団体として官民が連携して下水道の調査・設計・修繕を行う「下水道包括的民間委託」を全国で初めてJVスポンサーとして受注した。2026年は、10年契約170億円となる「ウォーターPPP」の受注を目指す。今後は更に長期的な取り組みを想定するなど、これまでにない動きも模索する方針である。先行きの見えない時代は続きそうだ。しかし、このような時代だからこそ、村上社長は「当社では失敗を恐れない『行動力』を重視し、変化に応対できる『柔軟性』を活かしていきたい」と展望を語る。創業から75年の期間に繋いできた地域での絆は想像以上に固い。常に掲げる「顧客本位」「FOR the CUSTOMER」という理念が、どのような形として花開くか注目である。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








