臼幸産業が創業120周年に向け、次のステージを見据えた取り組みへ
更新日:2026/4/14
臼幸産業(静岡県駿東郡小山町)は、沼津市内に新たな支店の建設を計画している。建物はZEB仕様の木造建築を予定し、自社主導で設計・施工を進める方針だ。利便性の高い拠点整備を通じて、働きやすさの向上と採用力強化に繋げる。太陽光発電や蓄電池、EVの導入も視野に入れており、災害時には県東部地域の支援拠点となれるよう、関係機関との連携も含めた検討を進めている。臼井康晴社長は「地元に根付く建設会社として、地域の顧客への貢献と災害復旧の役割を果たすことを重視している」と語る。


臼井社長は新卒で大手食品メーカーに技術職として入社し、大企業ならではの影響力の大きい仕事にやりがいを感じていた。一方で、父であり現会長を務める良太氏の要請を受け、家業に参画することとなった。入社後は総務を担当し、それまで手付かずだった採用活動を本格的に着手。当初は募集手段がハローワーク中心で、自身も採用は未経験だったため、応募獲得には試行錯誤が続いた。全社員インタビューなど対話を通じて見えてきたのは、「建設業に対する誠実さと、地域を守る使命感の文化」だった。自社の強みは「社員と社風」にあると気付き、「人」に焦点を当てることを考案。サイト構成や採用メッセージの刷新などを地道に重ね、現在では安定的に若手人材が入社する体制を構築した。「軌道に乗るまで約3年を要したが、今は部門に安心して任せられるレベルに達した」と手応えを語る。

現在は、組織の体力を養うための土台づくりの期間と位置付け、若手人材の育成と定着に向けた施策に注力している。その中核を成すのが、評価と給与体系を連動させた明確なキャリアパスの設計だ。かつて不透明だった人事評価をマニュアル化し、評価基準を可視化したことで、若手社員が納得感を持って業務に取り組める環境に変革。10〜20代の若手が社員の2割以上を占め、離職率も10%以下と高い定着率を実現する。ベテラン社員も健康状態や能力に応じて短時間勤務・職域の再設計を行い、70歳まで働き続けられる環境を整えた。また「資格(知識)と経験で一人前」という先代からの教えを受け継ぎ、資格取得支援制度を拡充したことで、資格保有率も94%と高水準を維持。若手からベテランまでが共に技術を磨き合う風土も根付きつつあるという。臼井社長は「地域の要望に応え、守るためには一定の企業規模が必要。まずは完工高100億円を安定的に達成できる企業として確立し、中長期的には社員200人・完工高150億円を継続できる体制を目指したい」と展望を語った。

臼井社長の根底にあるのは「建設業を通じて愛する地域社会を守る」という信念だ。雪の日には、夜間除雪作業に当たる社員の姿を、会社の誇りとして挙げる。「建設業の現場の素晴らしさと、働く人の思いを、より多くの方に知って頂きたい」と考え、現場風景の動画発信などを通じ、地域建設業全体のPRも進めていく方針である。2027年に創業120周年を迎える臼幸産業。地域とともに歩む次の歴史に向け、取り組みを着実に進めている。

Instagram:https://www.instagram.com/usuko.sangyou
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








