ACCESS入会を機に、山成工業が売り上げ倍増を志向
更新日:2025/4/14
「3年で売り上げ10億円を達成したい」
山成工業(和歌山市)の山口恵社長が掲げた目標である。2024年度は、前年度の倍近い約3億円の売り上げを記録するなど、これまでにない実績を残すことができた。実現には、若手社員の確保や協力会社の増加など、克服すべき点もある。現在、山口社長の脳内では、どのような過程を踏めば、理想に到達できるかのシミュレーションが繰り広げられているようだ。


同じ和歌山市内で同業種に当たる加藤工業(和歌山市)の加藤隆志社長は、中学生時代からの友人であり同級生でもある。山成工業が法面足場をメイン業務に取り組むのに対し、加藤工業が得意とする分野は橋梁足場。双方が1人親方から法人化の過程で同様の苦難を経験しており、そのような状況下でも2人は切磋琢磨して難局を乗り越えてきた共通点がある。昨年は、エイチ(岡山県総社市)の千田英治専務からの推薦により、全国仮設安全事業協同組合(ACCESS)に入会。全国の同業者他社と知り合えたことで、これまでにない視点も得ることができ、「事業の見通しが鮮明になった」と参加の意義を述べる。

山口社長はACCESSに入り、最も感銘を受けた点を「既にセカンドキャリアについて考え、準備に入っている会員が多かったこと」と語る。身体的に現場で稼働できる期間は限られている。しかし、事業を運営していく以上、経営者として新しい需要を生み、安定的に継続できる仕組み化を進める必要性がある。入職当初から、この課題に着目し考えを巡らせ続けていた山口社長にとって、全く同じ境遇で対策を模索する同志たちと知り合えたことは「今後のターニングポイントになるはずだ」と断言する。昨年の安全大会では、青年部を代表して千田専務・加藤社長と共に安全宣言を実施。この追い風をどのように活かしていくかも注目である。

3年以内に売り上げ10億円を目標にする山成工業だが、山口社長は「達成するには、自社の社員育成だけでなく、協力会社を順調に増やしていけるかが重要な要素」と分析する。戸建てなどの建築部門も手掛けているが、やはり主戦場となるのは橋梁足場。マルチアングル工法など特殊技術の活用手法を、協力会社に効率的に伝授できるかが、飛躍の鍵になりそうだ。「引き続き、全力で厳しい施工基準・徹底した施工管理に取り組む。これまで同様に安全・誠実・丁寧を前面に出し、業界内で確固たる地位を築きたい」と山口社長は改めて意欲を示す。技術の追求から獲得できた知見を、機動力に活かす速さが特徴の山成工業。和歌山県を基軸に、足場・鳶の新たな可能性が生まれる日が待ち遠しい。

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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。