「サステナブルな専門工事会社」に向け、松島工業が新たな取り組みへ
更新日:2026/5/1
松島工業(富山県高岡市)の松嶋浩二氏は、昨年1月の社長就任以降、「持続可能な経営基盤の構築」を掲げ、営業体制の強化を図っている。その中核として推進するのは、富山本社の煙突工事部門を東京支店に集約する計画だ。主要顧客であるプラントメーカーやゼネコンが多い首都圏に経営資源を集中することで、意思決定の迅速化と対応力の向上を目指していく。


この決断の背景には、煙突工事特有の激しい市場変動がある。2000年に施行されたダイオキシン類対策特別措置法により、ごみ処理施設の煙突更新需要がピークに達した際、業界は一時的な特需に沸いた。しかし、その後の反動は凄まじく、全国の競合他社が次々と倒産や廃業に追い込まれる中、同社も売上の激減を経験。「過去の教訓から、浮き沈みの激しい市場に左右されない、盤石な組織体制への変革が不可欠だった」と当時を振り返る。この苦境を乗り切れた要因は、機械を駆使した独自の施工技術を磨き上げたこと。同社が開発した「ワークステーション工法」は、タワークレーンのマストを利用し、油圧によって自動で足場を上昇・降下するものであり、従来に比べ工期を短縮する他、安全な施工を実現できるという。「自由な発想で現場の課題を解決する。この工法は職人と共に知恵を絞った結果生まれた」と開発の経緯を誇らしげに語る姿が印象的である。


松嶋社長が最優先課題に掲げるのは「社員に働きやすい環境を提供すること」。現在は長期出張中の宿泊施設に、従業員の家族を招待できる制度を設けるなど、独自の福利厚生を整えている。会社として外国人材の登用も積極的に行っており、ベトナム出身者の実習生など20人以上が在籍する。「自然体で能力を発揮できる雰囲気こそが、永続的な成長を遂げられる企業に繋がると考えている」と柔軟なスタンスを改めて示している。



煙突工事の醍醐味を松嶋社長に聞くと、「他ではできない仕事を、日本を代表する企業と共に完遂できること」との即答があった。独自の技能を駆使し、難題を解決するプロセスには、専門集団にしか味わえない確かな達成感がある。創業100周年を8年後に控え、同社が目指すのは規模の拡大ではなく、「サステナブルな専門工事会社」である。高度な技術力と人への投資で組織を再定義した松島工業。唯一無二の技術を継承し、多様な人材が活躍する社内は活気に溢れている。主力事業の東京集約という果敢な挑戦がもたらす変革に期待を寄せるのは、筆者だけではないはずだ。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








