海外輸出が好調の平田木材店が、「森と生きる」スタイルを徹底
更新日:2026/7/24
平田木材店(福井県高浜町)には、10年ほど前から働き方改革などに着手し、就労環境を改善し続けて実績がある。その取り組みが高い評価を受け、2018年には経済産業省・中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された。

長い歴史の中で手掛けてきた強固な基盤により、持ち前の即決・即断・即実行を実現する社内風土を醸成。地元である福井県や京都府で採れる木材「京若狭材」を活用し、製材から設計、施工までを自社で完結できる組織を持つ。近年では、建築家の隈研吾氏が設計した台湾の施設に製品を納品。平田寛明社長は「海外なんて別世界の話だと、最初は他人事のように聞いていた」と苦笑いしながらも、「市場の逆風に臆せず邁進を止めなかったことで、着実な成長を遂げられている」と手応えを語る。


会社は、製材、施工、不動産の3事業のサイクルを回す形式を取る。建設部門では住宅と非住宅の比率を半々に保つよう心掛け、製材部門も下支えの役割を担う構造を採る。平田社長は「小さな田舎にある企業だからこそ、様々な過程を踏む中で現在の手法を確立できた。現体制が完成形だという認識は持たず、常にマーケットにある核の部分に焦点を当て、柔軟なアップデートを繰り返したい」とスタンスを述べる。積極的な営業を仕掛ける訳でなく、顧客からの紹介や口コミにより、年間3棟前後の住宅受注を施工する。価格高騰などの影響を最小限に抑えつつ、会社の売り上げ約6億円を維持する屋台骨となっている。


5年前に始めた台湾への木材輸出は、今も軌道に乗っている。当時、大学ホールにヒノキルーバーを納入した際は、競合他社が難色を示す中、その場で速やかな決断を下したことで受注を勝ち取った。平田社長は「大手はラインを止めてまで試作することを嫌がる。しかし、日頃から多様な動きを見せていたことが功を奏し、その場で『弊社では実施しています!』と手を挙げられた。この機動力が、チャンスを呼び込む武器になっている」と自社のアドバンテージを提示する。


社内基盤を整え、次に見据えるのは、常に地元に存在する「森と生きる」というスタイルの徹底である。地域貢献の一環として、子供たちと砂浜に木製歩道「ゆめロード」を作る活動も5年目を迎えている。平田社長は「地元の木を活かし、それで得たお金を元にあった山に返納する。この循環を守ることが、平田木材店の使命」と断言する。同社が理想として目指す姿は、「次世代に豊かな自然を繋ぐ仕組みづくり」である。京若狭材の価値を高め、適切な間伐で山を再生させることで、森と持続可能な未来を切り拓く。地域に根ざした同社の堅実な歩みは、高浜の街と山、そして人々を、これからも明るい方に導き続けるに違いない。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。







