5年・10年先を見据えた事業展開を 小松建設
更新日:2026/10/16
昨年4月、小松建設(宮城県仙台市)の代表取締役に小松尚斗氏が就任した。

設立60周年の節目に背負うことになった、4代目としての重責。これまで仙台市の公共工事を軸に実績を重ね、直営の技能者と現場代理人を抱える自社施工を強みとしてきたが、小松社長は「少し前までは社員の多くが60代を超えていた」と振り返る。組織全体の高齢化を打ち破るべく、打ち出した施策は「慣習として続いてきたトップダウン型からの脱却」。社員全体に権限と責任を分散するチーム経営に転換したことで、「これまで『上司に従うことが仕事』と考えていた社員も当事者意識を持つことができた」と変化を語る。


改革の要となったのが、「特定の社員に偏っていた現場業務の属人化解消」と端的に述べる。異業種から入職した社員には、建設ディレクターとして安全書類や写真整理を任せ、現場の負担の大幅な削減に成功。事務作業から解放された現場代理人は、施工と品質管理の精度向上に繋げられている。従来までの出勤体系から完全週休2日制にシフトできた効果は大きく、「限られた労働時間内で最大限の成果を生み出せるよう、引き続き理想を追求していきたい」と前だけを見つめる。労働環境を改善できたメリットは採用面でもプラスの循環を作り出し、「人材紹介会社に頼る手法を改め、社員が知り合いを推薦する『リファラル採用』に切り替え、着実な結果を出せるようになった」と経緯を語る。背景にあるのは、社員からの意見を参考に構築した「福利厚生の充実化」。社員が安心して働ける環境を整えられたことは入社希望者にも伝わり、直近1年間では3人の若手採用に成功したという。小松社長は「紹介料を外部に払うくらいなら、それと同額を社員に還元したい。知人を迎え入れたいと本気で考える若手社員の増加が、改革後の何よりも手応えだった」と胸を張る姿が象徴的である。


小松建設は、社内の体制強化で得た推進力を後押しに、今まで以上に地域社会から必要とされる企業になることを目指している。年2回の地域清掃や中学生の職場体験を継続する他、宮城地区まつりには5年連続で出展し、重機乗車体験の機会も提供する。今後は、全社員が輝ける職場の確立と、5年後・10年後を見据え、建設業の魅力を次世代に伝える活動の増強を掲げている。小松社長は「働くことに誇りを持てる環境を完備し、地域から心から頼りにされる会社であり続けたい。100年企業に向けた道のりは遠いが、着実に基盤を構築することで歩みを進めていく」と意欲を見せる。高い矜持を胸に、自走して価値を創造する組織へ。社員一丸で切磋琢磨する風土が揺らぐ気配はなく、小松建設は確かな発展を続けていくはずである。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。







