沖縄県鉄筋工事業協同組合
更新日:2026/11/4
【3代目・理事長に就任】
今年7月に開催した沖縄県鉄筋工事業協同組合の総会にて、高安勇氏(高安工務店・代表取締役社長)が3代目理事長に就任した。健康上の理由により退任を余儀なくされた前理事長・粟國達成氏による指名と、役員会の総意により高安理事長に白羽の矢が立った。同組合は、2022年に鉄筋工事業協同組合と鉄筋業協同組合が統合した経緯があり、それぞれの代表を務めていた粟國氏と髙安氏が尽力し一本化を実現した。高安理事長が「2人で統合を成し遂げた以上、このバトンを受けるのは自然な流れだと捉えている」と言い切る表情に一点の迷いもない。前身組織から鉄筋業界の発展に向け全力を尽くしてきた重鎮の登板は、組織の結束を一層強固にする契機となっている。

【単価を全国水準まで押し上げる】
高安理事長は、組合としての最優先事項を「単価を全国水準まで引き上げること」に設定した。沖縄の鉄筋単価は本土と比べ低水準に留まり続けてきたが、「同じ仕事と労力でありながら、地域によって単価が異なるのはおかしい」と疑問を呈する。材料を持たず純粋な技術・技能を提供する鉄筋工事業は、価格転嫁が極めて難しく、労務費の安売りが企業の体力・賃金低下に直結する構造的な問題を抱えてきた。こうした状況を打破すべく、全国鉄筋工事業協会や九州鉄筋工事業団体連合会とも歩調を合わせ、全国一律の単価形成を志向。東京から専門の講師を招いて「鉄筋工事標準見積書」の作成・運用講習会を開くなど、組合員に対しての認知度の浸透も急いでいる。鉄筋工事が「技術・技能商売」として、適正な利益の確保と安定的な組織運営ができるよう、発注者・元請企業に堂々と単価上昇を主張できる環境づくりを進める方針を固めている。

【鉄筋工事業の地位を向上するために】
大手ゼネコンとの強固な信頼関係を足掛かりに、高安理事長は自社・髙安工務店を年商約30億円規模の企業に育て上げた。県内唯一となる2つの全天候型自社鉄筋加工場を活かし、加工から取り付けまで自社で一貫施工できる体制を確立。現在は、売り上げの約9割を大手ゼネコンの案件が占めており、米軍基地関連工事など今後の大型需要への即応体制も万全な状態を維持し続けている。長年、ゼネコンの中枢と渡り歩いてきた知識と交渉術を組合員に伝承する意志も強く、「沖縄県内の鉄筋工事業の可能性を拡張するため、できることは何でも挑戦していきたい」と並々ならぬ意欲を見せる。自社で培った知見とネットワークを惜しみなく団体に還元する姿勢は「真摯」の一言に尽き、鉄筋工事業の地位向上を最優先に考えるスタンスが、組合員を惹き付けていることも理解できる。

【底上げで次世代を拓く】
深刻化する人手不足や若手入職の低迷に対して、髙安理事長は「まず業界全体の給与水準を底上げし、各企業が安定した経営基盤を構築することが不可欠だ」と強調する。当たり前だが「鉄筋は稼げる魅力ある仕事」という実態を提示できなければ、次世代の担い手を確保できない。常日頃から組合員に対しては、「組合に入会すれば、どのようなメリットが自分にはあるか?」という安易な発想からの脱却を強く促す。「全組合員が情報を共有し、苦労を分かち合い協力し合う活動こそが、業界全体のレベルアップに繋がっていく」と新たな見解を示す。組合には今年度も新規で1社が加わり、所属企業は賛助会員を含めて36社となった。誰もが気兼ねなく集い、共に成長できる開かれた環境づくりを推し進める。激動の時代を迎える建設業界において、確固たる手腕と求心力を持つ髙安新理事長のもと、沖縄の鉄筋業界は個々の利害を超越した団体に変わりつつある。全国水準の「稼げる、誇れる産業」への進化は、ここから加速していくはずである。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








