クラフトバンク総研

地域No.1を目指す加藤工業が、工種追加も視野に躍進へ

更新日:2025/6/2

加藤工業(和歌山市)が2024年に、全国仮設安全事業協同組合(ACCESS)への入会を果たした。加藤隆志社長は「きっかけは、エイチの千田英治専務に出会えたこと」と語る。それ以前からInstagramなどSNSを通じて認知はしていたが、実際に会うとその存在感に圧倒され、「私が10年後に実現したいと考えていた業務を手掛けており、大きな影響を受けた」と振り返る。昨年10月に参加した安全大会では、青年部を代表して安全宣言を担うなど、既に活躍を見せている。

加藤工業は2013年2月に法人化を実施。特に独立の意思が強かった訳ではなかった。しかし、社員として1年ほど職人から内勤の仕事を任されるようになると、社内の数字を一通り把握できるようになり、「これなら自分でもできるはずという気持ちが芽生えた」と当時の心境を語る。2年間の個人事業主を経て、「より多くの資材を購入するには信用力が必要。それには会社を設立する必要がある」との決断に至ったという。会社として軌道に乗せるまでは、慣れない営業・事務作業をこなす必要もあり、苦しい時期も続いた。だが、1つの現場を確実にこなすことで、少しずつ信頼を積み重ね、今では16人の社員が所属するまでの成長を見せている。

橋梁足場を強みとする加藤工業だが、「エイチさんのように、補修関連の案件にも取り掛かれるよう準備を進める」と意気込みを述べる。この課題を克服するには、会社の規模を拡大させ、これまで培った技術・知識を更に社内で浸透させる必要がある。社長と同世代である30~40代前半が主軸のメンバー構成を見ても、特に若手の採用・育成は急務であり、昨年からは高校生の勧誘も開始した。自身の入職当初は「とにかく給与を上げてほしい」ばかりを考えていたが、現在は「給与は現状維持で構わないから、休みを増やして下さい」と言う若手に戸惑いを覚えることもある。しかし、「中長期的な視野に立つと、この現実を受け入れ、心地良い職場を作りに専念することが重要事項」と先を見通せる視野の広さも持ち合わせている。

 「2025年は、塗装・土木などの工種も追加し、公共工事の元請けになる足掛かりの年にしたい」と意欲を見せる。その実現には会社の発展に集中し、自身が不在の時でも問題なく回す組織を確立する必要がある。直近の目標は「地域で1番の企業に成長すること」。手が届きそうな位置に居ることは間違いないが、「到達までには、もう少しだけ時間が掛かる気もする」と微笑みながらも冷静な分析をする。加藤工業は持前の機動力・技術力を武器に、今日も順調な躍進を続けている。

関連記事:業界リーダーに迫る 『DX駆使を糸口に、エイチが「新3K」定着に挑戦

新着記事

  • 2025.12.12

    髙工が地域最優先の事業展開を継続

    髙工(仙台市宮城野区)が今年、設立75周年を迎えた。節目の年の機に、3代目の社長を務める髙橋圭氏は、「人・技術・信頼で未来を拓く」という社是の実現に向け、改革の加速を決意した。「土木工事は地図に残る仕事。完工した数々の現 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2025.12.11

    橋本工業が盤石な体制下での進展に備える

    「これまで『運』で生き延びてきた要素が強い」。 株式会社橋本工業(京都府舞鶴市)の橋本薫社長が、取材中に実感を込めて語ったセリフである。コロナ禍で仕事が確保できず苦しんでいた際、唐突に大手ゼネコンから「御社が資材置き場と […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.12.09

    クラフトバンク総研記者・信夫惇が辿り着いた最適解

    「業界リーダーに迫る」の連載が300回目を迎えた。連載開始前からクラフトバンクへの入社に名乗りを上げ、事実上の内定を獲得していた人物が当社の記者・信夫惇である。編集長・佐藤との出会いは約10年前。古巣・建通新聞社の浜松支 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2025.12.05

    門屋組が「200年企業」に向けた基盤強化をスタート

    門屋組(愛媛県松山市)が今年1月、創業115周年の節目を迎えた。これまでは民間工事を主軸に、住宅から商業施設まで幅広く新築を手掛けてきたが、門屋光彦社長の就任以降は、マンション建設への参入やメンテナンス事業などを強化し業 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一