クラフトバンク総研

川崎市造園建設業協同組合

更新日:2026/6/17

【理事長に再任】

 昨年8月29日に開催した川崎市造園建設業協同組合の通常総会にて、井上雅博理事長(井上植木・代表取締役)の再任が決定した。井上理事長は、「全国都市緑化かわさきフェアが素晴らしいイベントとして幕を閉じられたのは、皆さまのサポートがあったからだと確信している。次の任期でも与えられた使命を全うできるよう、全力を尽くすので協力してほしい」と挨拶した。2020年のコロナ禍に任期途中であった前任者の体調不良により、急遽交代が決まった重い責任。就任当初に、全国都市緑化かわさきフェアの話は出始めてはいたが、開催決定から終了までの過程を「長く険しい道のりだったが、期間中は『造園・緑』の特徴や重要性を的確に提示できことに満足している」と感慨深げに語る。

【全国都市緑化かわさきフェアの開催】

「第41回 全国都市緑化かわさきフェア」は、川崎市制100周年を記念して開催した、花と緑の祭典である。全国各地で毎年巡回する「全国都市緑化フェア」の第41回目として初めて川崎市が選ばれ、川崎市造園建設業協同組合も積極的に協力を果たした。今回は、2024年秋(10月中旬~11月上旬の約20日間)と、2025年春(3月上旬~下旬の約30日間)の2期に分けて実施。期間中は富士見公園、等々力緑地、生田緑地がコア会場となり、地域ごとの多様な緑を活用した取り組みを行い、合計で約162万人が来場した。井上理事長は「直前まで『本当に大丈夫なの?』と心配されていたが、いざ終わってみると『川崎、やるじゃないか!』との声を多く頂けたことが何よりも嬉しかった。来年には、横浜市で『GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)』も開かれるので、この良い流れを業界活性化に繋げられるよう活動したい」と意気込みを述べる。今回の成功裡には、日本造園建設業協会と神奈川県造園業協会のサポートが大きかったこともあり、「次は当組合が恩返しをする番になる」と義理を重んじるスタンスも魅力である。

【官公需適格組合制度の許可取得を目指す】

 昨今、井上理事長は、「当組合では、中小企業の官公需の受注機会を増やすために国が設ける『官公需適格組合制度』の許可取得を目指す」と明言している。中小企業にとって、公共工事や調達などの受注機会の増大が期待される需要な同制度。既に横浜市や横須賀市も取得・展開しており、昨年から井上理事長を中心に組合の幹部が明確なスタンスを示したことで、仕組みをシフトできた経緯がある。「今までは市内だけの枠組みで動くことが多かった。しかし、団体のトップとして新たな可能性を追求していくには、研修として各地に出向き、そこで吸収した様々なプラス事項を組合内に還元する必要性も感じている」と近年の変化を語る。かわさきフェアのレガシーも多い今、「組合としては、川崎市内を問わず『緑』と関われる行祭事があれば、主体的に参加することで行政・民間双方との繋がりを強化していきたい」と特有の目論見を述べる。

【体制転換の実績を活かす】

 井上理事長は、自身が経営を手掛ける井上植木(川崎市中原区)では、個人客中心だった売り上げ体制を公共工事主体に転換した実績を持つ。祖父が創業した会社の業務を手伝い始めたのが小学生の頃。家業を継ぐことは自然の流れだったが、それでも思う通りには物事を進められないのが職人の世界。黙々と技術を習得し、ようやく手応えを感じ始めた際、父に「事業の方向性を変えたい」と進言。「『お前の好きなようにやれ』と言われた」と3代目として認められた瞬間を振り返る。現在は管理会社とも連携し、大規模マンションの緑地メンテナンスも手掛けるなど、事業領域の拡大を続ける。企業・団体で改革を成し遂げた経験は貴重であり、多くの組合員から「あと10年は理事長を続けてほしい」という声が既に出るほど、必要不可欠な存在として異彩を放っている。

【時代に合ったやり方で突破口を見出す】

 組合として抱える課題を「若い技術者と後継者の育成」と即答する。「現代は、親方の言葉に『イエス』しか言えなかった時代ではなく、多様な働き方やワークライフバランスを重視する時代。若手の入職者が増える環境を醸成することも私たちの重要な使命」と並々ならぬ覚悟を見せる。様々な施策を順序立てて行う準備も進めているが、最優先事項を「川崎市造園建設業協同組合の知名度を向上させていくこと」と銘打つ。全国都市緑化かわさきフェアを大成功で終えた追い風も残る現在地は絶好のチャンスでもある。「今の時代に合った組織を確立すれば、必ず突破口は見出せる」と確信を持つ井上理事長の視座は常に高く、今後も造園業界に光を当てる活動を続けていく。

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