東京都電気工事工業組合・女性部会
更新日:2026/7/9
【「女性部会」を創設】
2023年11月、東京都電気工事工業組合は「女性部会」を創設した。通称「T Ladies United(ティー・レディース・ユナイテッド)」として浸透している同部会。現在は、会員や組合事業所に所属する37人が在籍し、発足から従来にない動きを展開している。設立の契機となったのは2023年6月。多摩地区で取ったアンケートを基に、親会のサポートにより集結したメンバー同士が、これまで従事してきた電気工事業界に関する本音や長所、是正すべき点などを共有した。神田彩会長(廣瀬電気・取締役専務)は、「全員が初対面だったが、当日は『同じ悩みを抱えていたのは、自分だけではなかった』と心の底から体感した、生涯忘れられない日となった」と感慨深げに振り返る。出会ったその瞬間から、何を話しても通じ合える感覚は心地良く、「その場では、全員から業界活性化の具体策が提案され、最終的には『終わりそうにないので、続きは必ず近くに実施しましょう』と笑顔で再会を誓ったことを覚えている」と微笑みながら話す。


【段階的に業界を変えるために】
近年では改善され始めたが、現場での女性用トイレ設置の問題や、機能性やデザイン性に富んだ作業着は男女問わず好まれるため、議論を深めるべきテーマは今なお色濃く残っている。このような課題が存在することを認めつつ、佐藤陽子副会長(日光電機・代表取締役)は、「女性部会の組織化により、『業界を良き方向に導くためには、きちんと声を上げていこう』という意志統一を図ることができた」と明言する。これまでも営業などで他社を訪ねると、「女性が何しに来たの?男性社員を連れて来てほしい」と門前払いされた経験のある組合員も居る。しかし、佐藤副会長は「旧態依然とした固定観念は崩れ始めており、『分からないので教えてください』と正直に聞くと、『しょうがないなぁ』と快く応じて頂ける風潮もある。急激に現実を変革するのではなく、業界を段階的に変えていくためにも、『女性部会』という立ち位置を活かしたい」と実感を込める。メンバー募集の際に力を発揮するのは、山口栄子理事(山栄電工・代表取締役)。最近でも「電気工事士の免許を取ろうかな?」と話してきた組合員に対して、「私、今は経理関係がメインだけれど第二種と第一種電気工事士と、施工管理の資格を持っているよ」と伝えると、途端に目を輝かせ「おすすめの勉強法や講習会はありますか?」などの質問に答えていると、間もなく3人の入会が決まったという。山口理事は、「今まで悩みは抱えていたが、どこに相談すれば解決に辿り着けるか分からない女性がいかに多かったかを再確認できた。女性部会の発足により、1人でも多くの拠り所になることも目指したい」と特有のスタンスを示す。


【恋活パーティーを開催】
女性部会では昨年11月に、「お友達からはじめましょう~電気でつなぐ縁結び~」と題した、恋活パーティーを開催した。実施までの経緯を、井上有子理事(能田電気工業・代表取締役)は「石川県電気工事工業組合の広報誌で、同様のイベントが開かれたと知り、これを参考に東京でも取り入れ、是非盛り上げたいと考えた」と率直に述べる。職人気質が故に仕事に没頭し、独身貴族となってしまった男性組合員は少なくない。「このような方たちと、異業種の女性を引き合わせる演出をすれば、これまでにない流れを生み出せるのでは?」と企画を立案。当日は5組のカップルが誕生したこともあり、空前の反響があったことで「次回は参加したい」と声を上げる希望者が続出しているという。イベントのサポートにも携わった浦野長子理事(中央通信電設・代表取締役)は、「今回の企画が、実現に至るまでの過程には様々なハードルはあったが、全てが終わった後に、このような好意的な声を聞くと『私たちに出来ることがあるならば、何でも挑戦する必要がある』という使命感が更に強まった。次回は今年の11月を予定しているが、前年度以上の成果を残せるよう、部会全体で趣向を凝らしたい」と真剣な眼差しを見せている。


【解決策は「女性職員を増やすこと」】
佐久間幸子監事(東京都電気工事工業組合・武蔵野地区本部)は、女性部会の特徴を「私のような組合員企業ではない、事務局の人間でも入会できる点が女性部の魅力」と明らかにする。慢性的な人手不足に解決策を見出せていない状況は続くが、最も効率的な改善策は「女性職員を増やすために、まずは日頃から女性が感じている不満をヒアリングすること」と提示する。女性部会の全メンバーは、この一翼を担うことを歓迎しており、「どのような過程を踏めば、会社側が女性を受け入れやすくなり、働きやすい環境を再構築できるかなどの具体策も提案していきたい」と前向きな姿勢を堅持する。神田会長は今後、SNS発信などの新たな活動も検討しているが、「マクロ的な視野で考えると、もはや国が動かなければ八方塞がりの状態に陥りつつある。部会としても最善を尽くすが、残された時間は極めて少ないことを念頭に、様々な声を上げていきたい」と覚悟を見せる。組合が設立以来、掲げているモットーは「協調と団結」。先行きの不透明な時代が続く中、女性部会に寄せられる期待は大きく、今後ものどのような斬新な動きを見せていくかに注目である。


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この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







