不確実性に満ちた時代を生き抜く。フクムラ仮設が掲げる新たな覚悟
更新日:2026/5/7
フクムラ仮設(福井県高浜町)は、2年前に「技術部」を創設したことを機に、事業領域の拡張と成長を続けている。同社は、仮設資材レンタル・リースや足場工事を手掛ける専門企業。仮設業界は従来、「保有資材を増やすこと」が戦略上の定石だった。

しかし、福村鉄二社長は、リース・足場・ケレン事業の3本を柱にしていた現状に対し、「国内の仮設材が飽和状態に近づきつつある」と判断。間もなくして、省力化施工や力学計算といった付加価値を強化する方向に舵を切った。


長年蓄積してきた仮設のノウハウを生かし近年では、北海道の現場から声が掛かるといった事例も増え「フクムラ仮設にお願いしたい」と厚い信頼を得るなど、飽くなき探求心が会社の存在価値を高めている。事業を拡大させるために「技術部」は、強度計算能力を融合させ、過剰になりがちな仮設計画の合理化も目指している。現場で最適な計画の提案ができれば、予算削減や現場作業の効率化、工期短縮を果たせると試行錯誤を続ける。一連の流れを「現場監督が抱える課題に寄り添った結果だから」と謙遜するが、現状維持で満足しない自身のスタイルを、独自の事業として昇華することに成功しつつあり、会社の新たな選択肢に結び付きそうである。

福村社長は、「父と母、そして社員の存在なくして、今の会社は語れない」と言い切る。幼少期から多くの時間を前身・福村建設で過ごし、父と母が率いた社員とは家族同様の関係を築いてきた。創業者である父の早逝後、母がリース事業を立ち上げ、経営危機を迎えても会社を守れたのは、「どのような状況下でも、信じてくれた社員の存在が大きい」と当時を振り返る。上京していた福村社長が帰郷を決意したのも、創業期から在籍するベテラン社員の一言が背中を押したから。

これら全てを心の糧に、社長就任以降も「社員が心から『フクムラ仮設に入れて良かった!』と感じられる、夢を描ける企業づくりを目指す」と決意。このスタンスは組織を運営する上での根幹となっており、「仮設をテーマに多くの人が集まってくれている。皆それぞれに家庭や夢がある。私はこの思いに対して、仕事を創ることで応援したい」と覚悟を示す。福村社長に共鳴する社員数は107人、協力業者も含めると約160人にまで増えており、膨らみ続ける希望がどのような形で成就するか楽しみである。

毎年5年先までの中期経営計画を更新しているフクムラ仮設では、最重要課題にインフレに対応できる人件費の確保を掲げている。不確実性に満ちた時代を生き抜くため、「老朽化が進む橋梁の延命化・省力化工事などメンテナンス事業への参入を検討し、持続的な成長を目指す」と語る目には熱が帯びる。幾多もの困難を乗り越えてきた福村社長が、これからは何を成し遂げていくのか。その進む軌跡には、業界の行く末を指し示す重要なヒントが潜んでいるはずだ。

フクムラ仮設 広報公式X:https://x.com/fic_kouhou
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








