クラフトバンク総研

「闘魂一途」を胸に、萩原建設工業が未来を切り拓く

更新日:2026/4/7

萩原建設工業(北海道帯広市)の萩原一宏副社長は、「社員らの幸福とやりがいを追求しながら地域に貢献すること」を至上命題に掲げている。社是である「闘魂一途」を自身に強く言い聞かせながら、約180人の社員と共に理想の職場を実現する為、その最善策を模索し続けている。

萩原副社長は新卒で船井総研に入社し、西松建設に出向し修行を積んだ。「現場は泥だらけでも楽しめたことから、『私にも建設人としての血が流れている』と感じることができた」と振り返る。萩原建設工業には2013年4月に入社したが、同年3月に多くの社員が退職した時期と重なったこともあり、苦しい船出になったという。当時は「昔ならではの堅苦しい建設会社」を踏襲しており、長く売り上げの低迷が続く状況を、元経営コンサルティングの立場から考えても「危機的な兆候は明白だった」と述懐する。

このような現状を打破するため、萩原副社長はまず全社員を対象にしたアンケートを実施。潜在化していた各々の不満や課題を洗い出すことで、「評価制度の確立」と「コミュニケーションの活性化」の2本柱で変革を完遂するプロジェクトチームを立ち上げた。これにより形骸化していた社是「闘魂一途」の解釈を、創業当時の文献に立ち返り「常に旺盛なチャレンジ精神を持ち、『100年企業でもベンチャー精神を持つこと』」と再定義。組織全体が挑戦を称える社風に変わるよう、評価制度の整備を実行した他、土木・建築の双方を需給状況に応じた動きをすることで、「徐々にだが目指す会社に近づく形となった」と変容を語る。現在(26年4月時点)までに107号を発刊し大きな反響を得ている、自社を紹介する月刊誌「HAGIWARA TIMES」を発刊したのもこの時期であり、社員だけでなく官公庁からも高い支持を受け続けている。

2018年には創業100周年の記念事業として、十勝地方にある宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」に出資した。これが契機となった縁で更なる関係性が繋がり、海外での案件受注を引き寄せることに成功。カンボジアのシェムリアップにあるサッカー専用スタジアムをCM方式で完工し、隣接地の高級ホテル建設計画にも連鎖させている。「海外にも活躍の舞台を広げられたことで、自らの意志で『やりたいです!』と手を挙げる若手社員が飛躍的に増えた。必ずしも高採算とは言えない状況もあるが、社内にこのような空気を醸成できたこと自体が価値だ」と前向きなスタンスで情勢を見つめる。更には2025年5月に、タイの大規模牧場建設プロジェクトに携わるなど、新しく解釈した社是を現在進行形で体現している。

萩原副社長は、「建設業の使命を常に胸に刻み、社員のため、地域のために何ができるのかを考え続けたい」と決意を新たにする。老舗の看板に安住することなく、挑戦を重ねながら次の時代への布石を打ち続けている。「この10年で手掛けてきた取り組みは、全て『今』に至る通過点だった」と話す眼差しには、言い表せない程の情熱が宿っている。長い年月を掛けて萩原副社長が紡いできた覚悟は、地域建設業の可能性を切り拓こうとしている。

Instagram:https://www.instagram.com/hagiwara.construction.industry/

新着記事

  • 2026.04.16

    松吉建設が「火付け役」としての役割を全う

    今年4月に松吉建設(福岡県糸島市)が、創業65年を迎えた。土木工事業を祖業にしていた同社は、時代の変化に応じて事業領域を広げ、現在はマンション施工を主軸とする総合建設業に進化を遂げている。次の世代を担うのが専務取締役の松 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.04.14

    臼幸産業が創業120周年に向け、次のステージを見据えた取り組みへ

    臼幸産業(静岡県駿東郡小山町)は、沼津市内に新たな支店の建設を計画している。建物はZEB仕様の木造建築を予定し、自社主導で設計・施工を進める方針だ。利便性の高い拠点整備を通じて、働きやすさの向上と採用力強化に繋げる。太陽 […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一
  • 2026.04.10

    小俣組が「自慢の社員たち」と可能性の探求

    建設と介護事業を手掛ける小俣組(横浜市南区)が、2029年に本社移転の計画を進めていることを発表した。建設地は現在の本社周辺を想定しており、自社設計・施工による7階建ての免震構造の採用を検討。最大250人を収容可能な広大 […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一
  • 2026.04.07

    DXで社内変革を果たした礒部組が、「地域」重視の施策で躍進を図る

    礒部組(高知県安芸郡)が、今年7月に創立70周年を迎える。祖父が安芸郡中芸地区に根差した建設業者として創業した同社。災害復旧工事を始め、道路や河川、森林など様々な分野の土木工事で地元の安全を・安心を支えている。礒部英俊氏 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦