クラフトバンク総研

DXで社内変革を果たした礒部組が、「地域」重視の施策で躍進を図る

更新日:2026/4/8

礒部組(高知県安芸郡)が、今年7月に創立70周年を迎える。祖父が安芸郡中芸地区に根差した建設業者として創業した同社。災害復旧工事を始め、道路や河川、森林など様々な分野の土木工事で地元の安全を・安心を支えている。礒部英俊氏が代表取締役に就任したのは2022年5月。先代である父・昌平氏の他界により就いた代表の座に、「経理を担当する妹の協力も得ながら、1年ほど前から実質的な運営を任せられており、大きな混乱はなく職務に向き合えた。しかし、いざ父が不在という現実に直面すると、どれだけ心強い存在だったかと思い知った面もあった」と振り返る。父が病床につく中、定例となっていた社内の状況報告をしていた際、「もういいで、アンタがやろうとすることが正解や」と言われた。この含蓄あるセリフを「ようやく認められた」と捉え、現在も会社に合わせた経営を心掛けている。

社長に就いた直後から始めた取り組みは、DXの導入により従来の働き方を変えること。属人化していた事務作業をDX化で変革できた効果は絶大で、「これまで『言われたことだけをやるのが仕事』と考えていた一部社員の固定観念を、情報の共有とアップデートで壊せたことが大きかった。生産性の向上により生まれた時間を、他の業務に充てられるようになった」と近年の状況を語る。実際に採用面でも顕著な変化が起こっており、直近の3年間では3人を採ることに成功。当初は入る意志の無かった高校生が社内見学に来て、DXを駆使する社内の様子を見て、「ここまで土木が進んでいると思わなかった。このような技術を経験したいので入社したいです」とその場で決まったことが、「DXを取り入れた何よりの功績だった」とこの上ない喜びを表している。

「地域に貢献し地域と共に生きる」を理念に掲げる礒部組だが、それを大前提とした上で礒部社長は「まず社員には家族や仲間など、身近な関係性を充実化させることから始めてほしい」と薦めている。理由は「周囲に喜びを与えられなければ、更に広域となる『地域』に寄与することは困難と考えるから」。社員構成もベテラン・中堅・若手と絶妙な年齢層のバランスを保てており、礒部社長も「社員から『この会社に入れて良かった』と思われるよう、引き続き改善・改良を繰り返す」と並々ならぬ覚悟を見せる。人手不足が叫ばれる建設業界だが、同社は積極的な活動の継続により活気に満ちている。「地域に必要とされる企業であり続けたい」。礒部社長の放つセリフは、シンプルだが非常に奥深いもので、今後の躍進が楽しみでならない。

新着記事

  • 2026.07.10

    浜脇工業が社内基盤の強化を加速

     今年5月29日に開催した東京都中小建設業協会の「第54回 通常総会」にて、浜脇工業(東京都練馬区)が正会員に加盟した。東京本社を統括するのは、本社長の門田久子氏。大阪で創業していた同社が、塗装・防水などの建築工事で実績 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.07.07

    富士防が「改修工事はカッコ良い!」世界を目指す

     富士防(神奈川県横須賀市)が、防水技術研修「Fujibow Waterproofing Training」を開始した。同研修は、次世代の防水職人育成を目的とした、実践的な防水技術・現場管理者の育成プログラム。職人が心身 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.07.03

    新社屋竣工の丸西組が、「誠実・信用・和」を軸に発展に注力

     丸西組(石川県小松市)が、新社屋の建設を進めている。  約50年前に建てた現在の本社は、老朽化と社員増加に伴い、利用する上で制約が増えていた。働く場所としての機能が限定的で、何より建築部と土木部、そしてグループ企業のウ […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.06.30

    若手の活力を武器に、天井丸建設が次のステージを見据える

    「まさに青天の霹靂だった」と、2019年の社長就任時を振り返るのは、天井丸建設(宮崎県児湯郡)の小田洋史氏である。岩国市の地場ゼネコンで経験を積んだ後、「そろそろ生まれ育った地元で働きたいな」と、同社に所属して9年近くが […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦