創業70周年の大河原建設。会社永続に向けた取り組みを開始
更新日:2025/5/2
今年7月1日、大河原建設(静岡県島田市)の代表取締役社長に朝倉大輔氏が就任した。創業70周年の節目に引き継いだ重責に対して、「これまで以上に、社員がものづくりに集中できる体制を構築したい」と意気込みを述べる。入社前には造園会社を起業し、職人としても働いた経験を、どのように社内外に還元していくか注目である。

DX化に関しては、社長に就く5年前からICT施工や書類の電子化などに取り組んでいる。当初、東京で開催されたi-Constructionに関する講演を聞いた際は、何を話しているのか理解できない状況だったが、現在は「DX部門においては、当社が近隣の建設業の中で見本の1つにはなれたかなという自負はある」と自信を覗かせる。社内で何か新たな取り組みを開始する時、各部門から一人ずつ参加して協議する場「IWORK(アイ・ワーク)委員会」を創設したこと。また、着手初期に全社員にスマートフォン、土木部に所属する全メンバーにi-padを貸与し、少しずつ慣れていく環境を作れたことが、ITアレルギーを起こす社員を最小化できた秘訣のようだ。既に2024年問題やBCP対策、SDGsなどにも対応済みで、就任から3ヶ月目にして盤石な体制を築きつつある。



朝倉社長は、社内で抱える課題を「見える化がまだまだ出来ていない点」と見立てる。社員全員に教育環境が行き届いているか、社員が成長を実感できているか、などを挙げており、社員が自身の成長の度合いを可視化できる評価制度の仕組みなどの整備を急いでいる。直近の3年では毎年10人程度の新卒社員が入社しており、既に3~4年目の社員が現場で所長を任せられるケースも生んでいる。順調な成果が出ているにも関わらず、更なる強化に取り組む理由は「経営者として会社の永続を目指すため、あらゆる想定をするのは当然のことだから」と断言する。そして、「社員には、できるだけ長く心地良く働いてほしい」という思いが強い。


大河原建設では、社長就任と同日に新社屋「飛天」の落成式を実施。新社屋・新社長の発表と同時に、更なる地域社会との融合・調和を進めるスタンスを明確化した。特に昨今頻発する歯止めの効かない天変地異に関しては、地場に根差したゼネコンとして「地域の守り手」となる期待を寄せられている。朝倉社長は、「人口減少などに伴い厳しい状況を迎えているが、地方の建設業にしか出来ないことは、依然として多く残されている。現段階においても為すべきことは多い。私の在任期間中に、従来以上の可能性を広げられるよう最善を尽くしていく」と語り、今後の躍進を誓った。



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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。