クラフトバンク総研

澤村が「きっかけを創造する」事業展開を継続

更新日:2026/1/8

澤村(滋賀県高島市)の澤村幸一郎社長は、「地方のロールモデルとしての成長」と「人材の価値最大化」をテーマに、組織を運営している。総合建設事業者として取り掛かる主な業務は、住宅やオフィス、工場など新築・改修の設計施工。創業の地である高島市から、更なる飛躍を遂げるため、「夢を描ける企業こそが、夢を与えられる」との強い思いを胸に日々の取り組みを強化している。

澤村社長は、父親であり2代目社長でもある寛氏が急逝した2017年、25歳の若さで社長業を引き継いだ。「父も私も高島市には縁がなく、他所から来たという負い目を感じながら、地域に溶け込めるよう奔走した」と当時の苦労を語る。転換点となったのは、「風と土の交藝」というイベントに参加したこと。市内を拠点にする工芸作家のアトリエ巡りの代表を務めたことで、「地方にも都会に負けない魅力があると突破口を見出せた」と原体験を話す。それと同時に自身の頭に駆け巡ったのは、「創業者で一級建築士でもあった澤村寅男氏の信条は何だったのか?」という根幹への問い。明確な答えを掴めた訳ではない。しかし、この日以降は「消滅可能性都市にも選ばれた高島市に本社を置くこと。また、設計施工を一手に担える会社だと、全面に押し出すブランディングを加速させた」と確固たるコンセプトで事業を展開するよう変化した。

2018年に竣工した新本社では、社長や役員、部署による区分けを廃止し、オープンな職場環境を実現。建物利用者の健康性・快適性などを認定する「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」を滋賀県の企業で初めて取得するなど、社員が働きやすい環境を追求している。ソフト面では、アドバイザーの性格診断による相互理解促進や社内表彰制度を導入。20代を中心とした採用委員の立ち上げなど、働き甲斐を感じられる仕組みを構築したことで、潜在的な可能性を引き出すことに成功。無事に売り上げも倍増することができ、その後は追い風を生み出しことができたようだ。

紆余曲折を経て社内変革に取り掛かれた澤村だが、現在は「施設のみならず、組織文化などにも関与し、地方にある魅力的な企業の掘り起こしにも注力している」と率直に話す。最近では、採用や企業文化、オフィスづくりなど中小企業の抱える課題を解決する「オープンカンパニー」を開催し、問題解決型の提案を実施。自社で蓄積したノウハウを惜しみなく提供することで、各企業が持つ個性がより光り輝けるよう、サポートに徹することで特有のブランド力を築いている。直近では、山科精器を手掛けるなど着実に実績を積み上げられている。

会社として大切にしている言葉は「きっかけを創造する」。人は人によってしか成長できないという普遍的な事実を基に、澤村社長はあらゆる人が良き方向に変わるスイッチを押すことを重視する。研ぎ澄まされた原動力が揺らぐ気配はなく、むしろ日々進化し続ける様相は興味深い。滋賀県を主軸に更なる変貌を遂げる澤村は、今後も新たな価値観を建設業全体に提示するはずだ。

Instagram:https://www.instagram.com/sawamura_architect/?hl=ja

関連記事:業界トレンド 『澤村が南座で入社式・社内表彰式を開催』

新着記事

  • 2026.11.02

    本州最北の地からの挑戦を継続 熊谷建設工業

     「この街を次の世代に残さなければならない」  熊谷建設工業(青森県むつ市)を率いる熊谷圭之輔社長の切実な危機感である。会社は本州最北の下北地域で、80年以上も地域のインフラを支え続けてきた。道路整備や冬の除雪を担う建設 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.10.30

    事業承継に向けた準備に入る セカンドライフ

     セカンドライフ(さいたま市岩槻区)の子安克枝氏社長は、企業永続を見据えた事業承継を進めていく方針を固めた。次期社長に指名した人物は荒田晃次工事部長。2002年に会社を設立する以前から、長く二人三脚で動いてきた信頼関係を […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.10.27

    100年続く技術・可能性の伝承を目指す 竹田工務店

     35歳で先代から会社を承継した当時を、竹田工務店(京都市南区)の竹田俊介社長は「建設業界の高齢化が進む中、同世代の仲間が壊滅的に少なく、将来に言いようのない不安を抱いた」と振り返る。 京都の地で100年以上に渡り伝統建 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.10.23

    シンコーワが人材重視の組織づくりを始める

     「家業に戻るという選択肢は特になかった」   シンコーワ(名古屋市中村区)の古市治希社長が、学生時代から抱いていた本音である。創業者であり現会長の父・光明氏から、家業の話は殆ど聞いたことがない。その後、新卒では別の会社 […]
    クラフトバンク総研記者松本 雄一