100年続く技術・可能性の伝承を目指す 竹田工務店
更新日:2026/10/27
35歳で先代から会社を承継した当時を、竹田工務店(京都市南区)の竹田俊介社長は「建設業界の高齢化が進む中、同世代の仲間が壊滅的に少なく、将来に言いようのない不安を抱いた」と振り返る。


京都の地で100年以上に渡り伝統建築を支えてきた同社にとって、「受け継いだバトンを次に受け渡すには、仲間を集め直さなければ、本当に仕事ができなくなる」と強い危機感を抱え、同世代・同業者が集結する日本青年会議所建設部会・京都建設クラブに参加。「同じ志を持つ経営者と繋がりたい一心だったが、今ではお互いに現場を助け合える関係を構築できている」と語る。自ら切り拓いた縁は、100年続く技術を伝承するための新たな礎となっている。

外部との連携強化に加え、同社を支えるもう一つの大きな強みを、竹田社長は「ベテランから若手まで高い技能を持つ大工を自社で抱えている点」と断言する。職人の高齢化に悩む傾向が強い中、同社は求人を出さず20代の大工が3人集まるなど、着実な若返りを果たせている。竹田社長は「自分でも明確な答えは導き出せていないが~」と前置きした上で、「プレカット主流の現代に、敢えて無垢のヒノキを手刻みで仕上げる注文住宅や、歴史ある祇園祭の山鉾修復や復元など、本物の技術に触れられる現場があるメリットは大きい」とポイントを語る。「かんな・のみを使い、自らの手で高度な技に挑む。手仕事の奥深さや面白さを実感できる機会の提供こそが、大工の醍醐味であり若い世代を惹きつける最大の要因だと捉えている」と胸を張る。


同社の確かな施工力は、国境を越えた実績に直結している。取引先からの要請によりドバイの個人宅に木造和室を建設した実績を始め、台湾や香港での施工経験も積んできた。「当初は、右も左も分からない状況で飛び込んだが、京都で培った技が海外でもそのまま通用し、想像を超えた喜びを与えられた現実が本当に嬉しく、会社として新たな手応えを感じた瞬間になった」と目を輝かせながら話す。「お客さまから望まれれば、どこへでも行く」という柔軟な姿勢は、現在進行形で可能性を世界規模に広げ続けている。


伝統の技を未来に引き継ぐため、日々の努力で職場環境を改善する今もなお、竹田社長は「どのような指導が最適なのかは試行錯誤の途中である」と率直な気持ちを明かす。「伝え・伝わる京の技」の継承を理念に掲げながらも、常にアップデートを試みる様子は「真摯」という表現が適切で、その動きが止まる気配はない。「お客さまにとって、一生に一度の家づくりに寄り添う、唯一無二のパートナーとして、技術の研鑽を徹底する」。竹田社長は、「歴史・伝統・責任のある当社を、自分の代で終わらせる訳にはいかない。次の世代を担う職人がしっかり成長できる環境を確立する」と誓い、全てを背負う明確な覚悟を持ちながら、今日も堅実な組織運営を手掛けている。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








