「直営体制」堅持の東日総業が、新たな風を吹き込む
更新日:2026/4/17
東日総業(千葉県一宮町)の篠瀨寛樹取締役は、今年1月に茂原青年会議所(茂原JC)の第68代理事長に就任した。掲げたテーマは「仲友将地〜自己成長こそがすべてに通ずる〜」。入会当初は「所属する団体の一つ」という認識に過ぎず、「決して熱意があったわけではなかった」と本音を話す。しかし、数々の事業を完遂する過程で得た仲間たちと自己成長の経験は、今では「何物にも代えがたい財産」となった。その実感を胸に、伝統ある組織の舵取りに挑んでいる。

理事長として、組織運営において最優先事項に据えるのが、会員の維持・拡大である。新設した「拡大・目覚まし委員会」を軸に、新規会員の獲得のみならず、活動が停滞している休眠会員への働きかけを試みる。一人ひとりと真摯に向き合い、再び活動の場へと呼び戻すための対話を粘り強く重ねており、「志を同じくして入会した仲間が、誰一人取り残されることなく、価値ある体験を共有できる環境を再興したい」と意気込みを見せる。組織の底上げに奔走するその姿には、伝統を次世代に繋ぐリーダーとしての使命感が宿る。
2022年からは一宮町議会議員を務めており、青年会議所理事会での緻密な事業計画の策定や合意形成までのプロセスなどが、政治の場でも役立っているという。「青年会議所は地域課題を議論し、形にするための実践的な学び舎だ。ここで得た知見をいかにして一宮町の発展に還元できるか、常に自分を問い直している」。官民双方の重責を担う立場として、現場の切実な声を政策へと繋げる架け橋としての役割を自認している。

本業では、半世紀以上続く地場ゼネコンの現場代理人として、今も最前線に立つ。篠瀨取締役は自社の強みを「施工能力」と即答する。施工管理に特化する建設会社が多い中、同社は今なお数十人の熟練職人を自社で抱える「直営体制」を堅持。「自社で全て完結できる体制があるからこそ、確かな物づくりが可能になる」と語るこの言葉には、分業化が進む建設業界において、ひと際の輝きを放っている。
直営の強みを守り抜く同社において、喫緊の課題は現場管理者の高齢化だ。「人材の不足は、事業継続のみならず地域インフラの維持に直結する」と篠瀨取締役は危機感を募らせる。この難局を乗り越えるため外国人材の積極登用を進める一方、主眼に置くのは若手監督の積極的な採用と徹底した育成だ。現場代理人として自ら実直な背中を見せながら、若手が誇りを持って物づくりに没頭できる環境整備に力を注ぐ。「人が変われば、企業も地域も劇的に変わる」。経営者として、そして一議員としての多角的な視点を武器に、現場の切実な声を希望に転換する。伝統を守りながらも新たな風を吹き込むその挑戦は、一宮町の未来を照らす確かな光となっている。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








