沖縄営業所の開設を機に、栄港建設が可能性を探求へ
更新日:2026/5/22
オーダーメイド建築を手掛ける栄港建設(横浜市港北区)が、今年3月に沖縄営業所を開設した。1982年の創業以来、本社一拠点体制を貫いてきた同社にとって、初の県外進出となる。岡田雅人社長は「沖縄進出は確かな戦略に基づいた一手」と明言する。潜在需要は大きく出生率も高い。未来を担う若いエネルギーに溢れていたことを受け、「この地には可能性に溢れている」と新たな市場開拓を決断した。


新拠点に選んだのは、県内全域へのアクセスに優れた中頭郡北中城村。マンションの1階を自社でリノベーションした開放的なオフィスを構え、既にリフォーム・新築の案件受注も始動している。岡田社長は「3〜5年以内には支店に育て、現地での雇用と育成を加速させたい」と意欲を示す。地域社会と社員の双方に誠実に向き合う独自のスタンスが、新天地でどのような躍動を見せるか注目である。



岡田社長が更なる飛躍への課題として位置付けるのが、「施工基盤の構築」である。様々な建築家や施主から引き合いが絶えない中、近年ではリソースの限界から受注を断らざるを得ないケースも増えてきたという。このような機会損失を解消すべく、現場監督の確保と育成に全力を尽くす構えを見せている。「業界全体で30代の中間層が不足しており、もちろん当社も例外なことではない。幸いにも20代の若手は数多く集まり始めている。高度な施工技術の習得には長い期間を要するが、きっちりと時間をかけることで教育する」と手堅い経営方針を堅持している。
栄港建設は自社の枠を超え、協力業者との共生を追求している特長もある。2023年には、協力会組織である「協栄会」を法人化。組合として採用窓口を一本化し、業者単独では解決困難な教育課題も組織全体でバックアップする。特に大工に関しては、最初の3年間を自社社員として雇用し、修行期間の給与などを同社が全て負担するというスキームを構築した。実際に取り組みを開始以来5人の大工を輩出している。岡田社長は「大工は現場の基本に当たる。丁寧な仕事を完遂すれば、連鎖的に全工程の質が向上する」と経験を通じた知見を語る。現在は70社を超える会員企業がこの理念に賛同し、一丸となって技術の伝承を力強く推進している。

今後の事業展望について、岡田社長は「建設業はもっと社会に開かれているべき。地域の人々が気軽に遊びに来られる場所に変えていきたい」と理想を掲げる。その核となるのが、10年ビジョンに据える「きよとの森」構想だ。創業者である岡田清人氏の名を冠した同コンセプトは、材木置き場や加工場、設計事務所、保育園までも内包する「建築に関わる人々が集う小さな街」の創造を目指すもの。既に社内では次世代のリーダーらによる経営指針の策定も開始しており、「主役はあくまで未来を引き継ぐ若手たち。私は彼らが迷いなく挑める環境を整えることに、残りの人生を捧げたい」と語る社長の言葉には、並々ならぬ覚悟と全幅の信頼が滲み出ている。栄港建設が描き出す真の共生社会。それは前途を引き継ぐ若者たちの手によって、より豊かな彩りを持って完成されていくはずである。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本 雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。







