「地域の課題を、資産に変える」。中城建設が挑む新たなフェーズ
更新日:2026/9/24
「地域の課題を、資産に変える」。

中城建設(仙台市)を牽引する結城創社長の掲げる経営信条である。全国に先駆けて超高齢化と人口減少が進む東北は、日本の未来を凝縮した「課題先進地」とも呼ばれている。人口増加を前提とした、従来までの経営方針に限界を感じ始めていた結城社長は、「どれだけ立派な建物を造っても、そこで暮らす人や現場で働く社員が幸せでなければ意味がない」と言い切る。目指す先は単純な工事の請負だけでなく、地域の課題を自社の関与により、持続可能な価値に変換することである。

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根底に存在するのは、社員と地域から発せられる生身の声に向き合う姿勢だ。身内の介護で心身ともに疲弊する社員の苦境を目の当たりにしたことを機に、自社で高齢者施設のサブリース事業を開始。地域の医療・福祉を下支えする仕組みを整備したことで、「会社としての役割を再認識できた」と振り返る。現在は、後継者不足で荒廃する耕作放棄地と、働く場を求める障害者を繋ぐ「農福連携」も実施。農園を観光地として再生できた功績は大きく、「身近な問題を解決に導くことで、会社を地域に不可欠な存在として根付かせたい」と強い意欲を見せている。


会社として取り組む領域は福祉にとどまらず、昨今では系統用蓄電池を活用した事業にも注力する。結城社長は「東北で生まれたエネルギーを、利益と共に都市部へと流さざるを得なかった状況を変えたかった」と言及。自社での多額な投資も要したが、地元の金融機関や企業と連携したことで、エネルギーの地産地消モデルの構築を実現した。「最も重要なのは、地域内で収益と雇用が循環する、新たなインフラ資産を創り出すこと。大企業に頼るのではなく、地元の仲間と一緒に新たな道を切り拓きたい」と明確なスタンスを表明する。

社内では結城社長主導のもと、最新AI・DXを導入することで生産性向上を加速する動きも顕著である。真の目的は「現場監督という技術者が正当に評価され、安心して働ける環境を作ること」。「5年後には売り上げ100億円を達成する」という目標も単一的な規模拡大ではなく、地域が抱える問題点を克服し、技術者を守るための通過点と位置付けている。中城建設には1946年、戦災で焼け野原となった郷土の復興を願い創業したという歴史がある。当初は住宅や学校の建設を使命に掲げてきたが、それは時代が移る中で「持続可能な街づくり」に形を変え、今まさに新たなフェーズに突入しようとしている。「課題先進地・東北から、世界に誇れる街を造る」。常に地域と歩調を合わせながら進む、結城社長の挑戦は続いていく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。







