黒子役としての役割を全うする。篠田重機が示す覚悟
更新日:2025/6/9
「15年後に埼玉県で1番カッコ良い会社になる」。

篠田重機(埼玉県三郷市)の篠田翔太常務取締役が掲げた目標である。実現には、社員の平均年収を700万円にまで押し上げられるよう、社内改革を加速化する必要があるなど課題は多い。しかし、「今の社員と共に着実な成長を続けられれば、決して無謀な計画ではないと信じている」と常に今できる最善策に取り組むスタンスが印象的である。

篠田常務は大学卒業後、コンサルタント会社勤務を経て家業である篠田重機に参画した。物心が付いた頃から「いずれは祖父が創業した会社の舵取りを担う」と考え続けていたこともあり、新卒時から「『プラスになることは何でも吸収する』と、とにかく積極的な経験を積むことを心掛けた」と振り返る。その後、父でもある社長の壽和氏から熱烈な要請を受けたこともあり、入社を決意したのが2018年1月。想定より早い入職になったことに加え、これまで身を置いてきた業界とは別世界だった戸惑いもあったが、体育会系で培った忍耐・辛抱力を武器に、「徐々にだが構造を理解し、自分の色を出せるようになってきた」と経緯を語る。

今年5月3日には、自身の発案により自社の敷地内で「なまずのぼり2025」を開催した。イベントでは、吉川市のシンボルである「なまず」をモチーフに、全国から募集したこいのぼりを保有する30台のクレーンに掲揚。当日は約400人が来場し、多くの地域住民・関係者との交流の場を提供することに成功した。篠田常務は「埼玉県吉川市・三郷市やクレーンオペレーターの魅力を伝えたいと考え企画を立案した。引き続き、建設業の長所を伝える場を設けたい」と意欲を見せる。当日は、複数のキッチンカーが出展し、クレーン車の試乗コーナーに長蛇の列ができるほどの盛況となり、埼玉県の新しい風物詩としての定着を目指している。


現在、篠田重機の社員数は48人だが、半数近くが20代と目を見張るほどの若返りを見せている。秘訣を篠田常務に聞くと「伸び伸びと活躍していた社員が、知り合いを連れて来て、新たに加わった仲間が紹介を続けるという、プラスの循環を作れたから」と明言する。創業期から長期に渡り、各種重機・各種クレーン車両のレンタル・リース・チャーターを手掛けてきた経験を活かし、総合コンサルティングを展開する企業として確立できた。「インフラ整備は必要不可欠なもの。当社は重機などを通じて、その社会を支える企業の黒子役としての役割を全うする」と強い覚悟を示す。目標を達成する時期として銘打ったのは2036年。4年後には、社長就任も決定しており、残りの時間を仲間と共にどのように過ごしていくか。篠田常務の勝負は既に始まっている。


篠田常務のX:https://x.com/shotan0528
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。