「品質とスピード」重視のTSMが、体制変容に乗り出す
更新日:2026/3/9
太陽光事業を手掛けるTSM(名古屋市天白区)は、会社が創立10年周年を迎えた節目に売り上げ20億円を突破した。当初、創業者である石原靖之社長は、太陽光発電の部材販売を行う上で「どこで買っても同じ『モノ』の販売だけでは、本質的な付加価値は生み出せない」と判断。販売から施工までを一貫して請け負う「パッケージ化」に舵を切った。この転換が結実し、工務店や大手エネルギー企業との提携を経て、年間施工数1000件を超えるまで規模を拡大し、市場における存在感を強めている。



石原社長は、組織として「品質とスピード」を担保にする営業体制を構築。社員に対しては、顧客からの問い合わせに即座に回答するルールを設定し、「当たり前を誰にも真似できないレベルで徹底すること」を求める。単純だがこのスピード感が、顧客から信頼を勝ち取る重要な源泉となっており、「質と速さを誰も到達できない領域に引き上げることにこそ、真の意味がある」と強調する。この生産性を下支えするのが、SFAツールの活用を核としたDXサービスだ。スマートフォン1つで場所を選ばず、全ての業務を完結できるデジタル基盤を作り上げ、スキマ時間を業務に有効利用できるワークフローを確立。無駄な事務作業を徹底的に排除できたことで、自然な流れでの働き方改革も実現したという。



順調な業績拡大が続く現段階において、最も注力する分野を「採用」と断言する。現状を「事業の成長スピードに対し、人材の確保が追いついていない」と冷静に分析。その上で「人をゼロから育てられる余裕と仕組みが整いつつある今こそがチャンス」と判断し、来年度から初めてとなる新卒採用の開始を決めた。社員の育成については、長期的なスパンで各々の可能性をじっくりと見守る構えであり、石原社長は「短期間での急激な変化を強いることはしない。成長には、少なくとも2~3年を要するはずだから」と手堅いスタンスを堅持している。


今後は、住宅用太陽光発電を主軸にしつつ、EV市場や企業向けの大規模設置など、販売チャネルの多角化も目論む。このような攻めの姿勢を保つ根幹には、社員一人ひとりに対する石原社長の強い責任感が宿っている。「数ある会社の中から当社を選んでくれた社員に、物心両面での幸福を届けたい」。この純粋かつ強固な信念こそが、石原社長を次なるステージへと突き動かす原動力となっている。実績を積み上げながら挑戦を続けるTSMが、どのような組織に変貌を遂げていくのか。この過程にこそ体制変容の神髄が内包されており、何よりも注目すべき点だと筆者は考えている。


Instagram:https://www.instagram.com/tsm_recruit/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。







