クラフトバンク総研

シーテックが未来に向けた挑戦を継続へ

更新日:2026/1/14

シーテック(名古屋市緑区)で上席執行役員・再生可能エネルギー事業本部長を務める伊藤眞治氏は、同社の再生可能エネルギー事業を黎明期から推進してきた実績がある。中部電力の流通設備や水力発電設備の保守・工事に携わることで蓄積し続けてきた知見。「日々の苦労は尽きなかったが、事業を着実に成長させてきた過程が今の私を支えている」と胸を張る。会社としては、約33万kWの発電設備を保有し、主力となる風力発電では国内トップクラスの発電量を誇っている。

同社は、1999年に風力発電事業に参入した。当時、中期経営戦略に掲げたのは、「新規事業として自社で発電し売電すること」。中部電力や官公庁からの工事だけでなく、新たな選択肢を設けることで、会社としての可能性拡張に乗り出した。その後は、三重県青山高原で陸上風力発電の開発に着手した他、共同事業として愛知県田原市の「たはらソーラー・ウインド発電所」や、秋田県秋田市・潟上市の「秋田潟上ウインドファーム」なども運営。今後は蓄電池の開発にも力を入れることを表明しており、「これまで以上の技術レベルが必要となる。グループの総合力を駆使して事業を展開させたい」と意気込みを見せている。

伊藤本部長は、「会社としては、環境に配慮した現場施工を心掛ける『切り盛りバランスゼロ』を目指している」と明言する。山を切り拓いて道路やヤードを作れば大量の土砂が発生する。これを場外に排出すれば産業廃棄物となり環境負荷も増えるため、同社では切った土を構内の盛土に充てられるよう綿密な計画を立てているという。施工方法にも工夫を凝らしており、広いヤードを必要とする地組工法ではなく、大型クレーンで一枚ずつ据え付けるシングルブレード工法を積極的に採用。風の影響を受けやすいため、コストが上がるが、「環境影響評価をクリアし、地域との共生を進めるための選択をすることが大事」と採算だけでは計れない重要性にも目を向けることを忘れない。

ウクライナ情勢や円安による建設コストの高騰など逆風も吹くが、シーテックは風力発電作業者の安全教育を行う「セントラルウインドアカデミー」に加盟。伊藤本部長は、副理事長として教育プログラムの設計に関わるなど、安全への投資を惜しまない姿勢を貫いている。「為替や国際情勢、そして風そのものを変えられないからこそ、知恵と技術を研ぎ澄まし、稼働率を1%でも上げる努力を続ける」と語気を強める。直近の中部電力グループの目標は「2030年頃に向けた再生可能エネルギーを2017年度末と比較して320万kW以上に拡大すること」。技術レベルの更なる向上を追求すると同時に、暮らしに欠かせない電気を届ける設備の建設・保守や、インフラ設備の基礎を築き守る土木建築など、会社として重責を担っている。「どのような環境下でも、その時にできる最善を尽くす」。伊藤本部長の視線は常に未来を向いており、変動する世界情勢の中でも、その挑戦は続いていくはずだ。

関連記事:建魂一適 『セントラルウインドアカデミー』

新着記事

  • 2026.07.24

    海外輸出が好調の平田木材店が、「森と生きる」スタイルを徹底

    平田木材店(福井県高浜町)には、10年ほど前から働き方改革などに着手し、就労環境を改善し続けて実績がある。その取り組みが高い評価を受け、2018年には経済産業省・中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2026.07.21

    明確な評価制度を基軸に、西野建設工業が組織を再構築

     西野建設工業(大阪市平野区)は現在、社内評価制度の構築を進めている。正式な導入を開始する時期は来年4月を予定。およそ1年の準備期間を経て、正当かつ適切な評価を下せる職場環境を目指していく。西野順一社長は、「これまでも個 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.07.17

    組織編制を進める大畑建設が、新5Kを意識した経営を目論む

     大畑建設(島根県益田市)は、女性事務員という区分を廃止し、全ての女性事務員を総合職扱いに社内体制を変えた。この取り組みを決断した人物が、2年前に代表取締役専務に就任した大畑雅敬氏。「これまでハード面は設置されていたが、 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2026.07.14

    地域の当たり前を守るため、大和電機が知見を追求

    大和電機(鹿児島県霧島市)は、今年7月に創業55周年を迎える。現在社長を務める岩﨑健太氏は「この55年は、父である現会長が1人で興した当社が、様々な方々に支えられてきたことにより、現在まで存続できている」と迷いなく語る。 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇