ICT事業部を創設の板倉重機。「心の通う環境づくり」を進める
更新日:2026/8/27
板倉重機(島根県出雲市)は今年4月、社内にICT事業部を創設した。部署の設置を決めたのは、2024年4月に3代目社長へ就任した板倉史典氏。顧客のニーズが高まっていることを踏まえ、現場でのICT施工やドローンによる3D測量、情報通信技術などを組み合わせた施工に取り組んでいく。板倉社長は「建設業全体で人手不足が深刻化する中、お客さまからDXに関する具体的な要望があった際、即座に対応できる体制を整えるべきと考え、ICT事業部を発足した。現在はメンバーが少人数で現場業務も兼務しているため、理想どおりには進められていないが、今後の会社の指針となるような部署にしていきたい」と思いを述べる。


社長就任後、特に重視している分野として挙げるのは、「①技術力の維持、②採用・育成」の2点だ。グループには3社の関連会社があり、木材の調達・製材、住宅建築、給排水設備工事、不動産取引、重機土工工事、立坑工事、一般土木工事、杭打ち・重仮設工事、大型重機の輸送までをワンストップで対応できる体制を整えている。幅広い需要に応えるには多くの人材が必要となるが、板倉社長は「特に人材育成については試行錯誤を繰り返してきた」と振り返る。過去には、世代間の価値観の違いから、先輩社員が新入社員への教育方法に悩み、自身が新人時代に受けた指導をそのまま後輩に行うケースもあった。その結果、ベテラン社員と新入社員との間にギャップが生まれ、双方の離職率が高い時期もあったという。「5人入社して1人でも残れば御の字」という暗黙の空気を重く受け止めた板倉社長は、教える側となる中堅社員に対し、「まず自ら手本を見せ、その後新人にやらせてみる。できていないことはしっかり伝え、できたことは褒めて認める」という教育方法を採用。厳しさと褒めることのバランスを重視した。社員一人ひとりが成功体験を積み重ねることで、自ら考えて行動する習慣が身に付き、過去2年間の新卒社員の退職者はゼロを記録するまでに組織力が強化された。「若い社員には、『自分自身が成長するため、仕事を通じてお客さまや社会に貢献するために働いてほしい』と伝える。専門的な技術力を磨くことが、結果として会社全体の事業活動にもつながる。経営に正解はないが、トライ&エラーを繰り返しながら、常に改善・改良を続けていきたい」と明確な意思を示す。



板倉社長は、中長期的な目標として「グループ全体の社員数を1,000名まで増やしたい」と掲げる。現在のグループ社員数は約240名。実現には時間を要する目標ではあるが、グループ会社である出雲技研(島根県出雲市)は今期、過去最高の売上を記録する見込みであり、「総力戦で挑んでいきたい」と力強く語る。近年は県外からの引き合いも増えており、需要の高まりを実感しているという。一方で、最大の課題はやはり「人」。建設業に魅力を感じる人材を採用し、一人前へと育てる仕組みを確立できれば、この目標も決して荒唐無稽なものではない。企業理念に掲げるのは「心の通う環境づくり」。板倉重機は、創業以来培ってきた「和」の精神を社会へ広げながら、これからも地域インフラの維持・発展に貢献していく。



この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








